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【韓国旅客船沈没】「72時間」経過 家族の忍耐限界に
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≪船内に3遺体発見 船長ら3人を逮捕≫
韓国南西部、珍島沖の旅客船「セウォル号」沈没事故で、韓国海洋警察は4月19日、潜水士がこの日早朝、水没した船内で3人の遺体を発見したと明らかにした。(4月)16日に沈没した後、船内で遺体が見つかったのは初めて。韓国政府の合同捜査本部は19日未明、事故当時に操舵(そうだ)室を離れていたイ・ジュンソク船長(68)と、操船していた女性の3等航海士(25)、操舵手(55)の計3人を逮捕した。
また、木浦地検幹部は19日、旅客船が3等航海士の指示による旋回後にバランスを崩したと述べ、急旋回が事故の原因との見方を示した。航海士が捜査本部の調べに「現場海域で操船したのは、6カ月の勤務歴で今回が初めてだった」と供述していることも判明した。
韓国メディアによると、現場付近は船舶が針路を変更する「変針点」で、潮流が速く操船が難しいとされる。捜査本部は、この航海士の操舵指示の内容などを中心に調べを進め、原因究明を急ぐ。
聯合(れんごう)ニュースによると、イ容疑者は乗客を救護せずに船から脱出したとの特定犯罪加重処罰法違反など5つの容疑で、航海士ら2容疑者は業務上過失致死などの容疑で逮捕された。
特定犯罪加重処罰法違反は業務上過失致死より罪が重く、国民感情を考慮して同種の行為に重罰を科す場合に適用される。イ容疑者に適用された条項の最高刑は無期懲役。
中央日報によると、3等航海士は調べに対し、船はほぼ全速力で進んで急旋回したと供述。イ容疑者は事故直後、乗客に動かないよう指示する船内放送が流れる中、早々と船を脱出した疑いが強まっている。
3遺体は4階の客室とみられる位置で窓越しに見つかった。潜水士は窓を割って収容を試みたが、速い潮流で断念。海洋警察は潜水士を集中的に投入して収容を急ぐ。
海洋警察は18日夜に船の乗客数と救助者数を訂正し、死者、不明者の合計が増えて302人に達した。19日までに収容した死者は33人、不明者は269人になった。
≪「72時間」経過 家族の忍耐限界に≫
「どうしてこんなことに…」。韓国南西部、珍島の体育館に号泣する声が響いた。4月16日の沈没後、初めてもたらされた「船内で遺体発見」の悲報。捜索を見守り続ける安否不明者の家族らは19日、耐え難い悲しみに泣き崩れた。
進展しない捜索にいら立ちを募らせて当局者に詰め寄った。わずかな情報を待ち続け、忍耐は限界に。災害で生存率が低下する「発生後72時間」が過ぎ、海に消えた高校生らの救出を絶望視する声も漏れ始めた。
夜が明け、体育館に薄日が差し込んだこの日午前7時(日本時間同)前。眠りから覚めた安否不明者の家族を悲しい現実が待ち受けていた。
「潜水士が船の窓越しに遺体を発見した」と家族らに説明する海洋警察の担当者。最前列で聞いていた女性は「あの子は生きている。早く連れて帰って」と泣き崩れ、何度も床をたたいた。
遺体発見時に備えたDNA検査のサンプル採取も行われ、館外のテントには数十人が列をつくった。書類に記入しながら「何でこんなことをしなければならないの」と泣きだす若い女性もいた。
体育館では、家族代表が水中カメラを潜水士に渡して撮影させたという捜索海域の映像が上映された。暗い海中がライトで照らされ、船の白い柵のようなものの映像を、家族らは息をのんでじっと見詰めた。
上映後には「カメラが船内に入れてない」と怒号が飛び、海洋警察幹部に殴りかかる男性も。速い潮流で捜索が難航している状況に理解を得るつもりが、かえって当局への不満をあおる結果となった。
進展しない捜索にいら立ちを募らせた親たちは口々に「バスで青瓦台(大統領府)に行こう」と政府との直談判を主張した。
一方、災害などで生存率が低下する「発生後72時間」が過ぎ、「心の準備」を口にする人も出始めた。
不明者の父母を除く親戚らは午後、体育館の外で今後の対応を協議。ある男性は「現実を直視するよう両親に伝えるべきだ」と主張した。
長引く体育館での寝泊まりに家族の疲労は蓄積。急病人などの応急処置をする簡易ベッドは多くが埋まり、横になった人々は家族に体をさすってもらったり、ぬれたタオルで髪の毛を拭いてもらったりしていた。(共同/SANKEI EXPRESS)