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【韓国旅客船沈没】過積載で急旋回 「明らかな人災」
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≪韓国船沈没1週間 死者113人、不明189人に≫
韓国・全羅南道の珍島沖合で旅客船「セウォル号」が沈没した事故は、4月23日で発生から1週間となる。生存者は発見されておらず、事故の犠牲者は22日までに113人、行方不明者は189人となった。
発表によると、犠牲者は修学旅行生が集まっていた3階のラウンジ部分と、団体客室がある4階に集中している。合同捜査本部は22日までに、遺棄致死容疑などで拘束した航海士3人と機関長1人の計4人の逮捕状を請求した。22日中にも逮捕する。
事故では、経験が未熟な女性航海士(25)に操船を任せた船長(68)=いずれも逮捕済み=ら乗組員が乗客を見捨てて逃げるなど、その責任が問われている。発生当初から乗客や生存者、死者の数も訂正を繰り返し、救出に手間取った政府当局の対応にも批判が集まっている。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は船長らの行動を「殺人同様だ」として厳罰を当然視しているが、政府側の不始末も明らかになった。
(4月)20日には、安全行政省の高官が現場近くで記念撮影しようとし、その無神経さに行方不明者の家族らが激怒。高官は辞職に追い込まれた。(4月)18日には、6月の統一地方選での再選を目指すセヌリ党の世宗(セジョン)市長が、若手党員の酒席に参加。党から警告処分を受けた。
一命を取り留めた女子高校生に、記者が「友人が死んだのを知っているか」と質問して号泣させ、批判を受けた。テレビメディアが視聴者に「おわび」する事例も珍しくない。(珍島(チンド) 加藤達也、ソウル 名村隆寛/SANKEI EXPRESS)
≪過積載で急旋回 「明らかな人災」≫
「セウォル号」の事故原因はいまなお特定されていないが、急旋回したことで過積載の積み荷が荷崩れし、転覆に至ったとの見方が有力だ。船長が真っ先に脱出したり、運航会社が安全教育を怠るなどずさんな安全管理態勢が被害を拡大させた疑いも浮上。韓国船舶史上最悪の惨事となった今回の事故について、専門家からは「明らかな人災」との見方が強い。
韓国の捜査当局は現在、事故原因の解明に向け船長のイ・ジュンソク容疑者(68)らを逮捕して事情聴取を続けている。
複数の韓国メディアはこれまで、有力な事故原因として、高速航行中に90度右に急旋回した可能性を指摘していた。その後、韓国海洋水産省が航跡記録を分析した結果、実際には45度前後の角度で「J」の字形に旋回していたことが判明したが、航路が捜査の焦点であることに変わりはない。
もう一つ注目されているのが、過積載状態での荷崩れ。右方向への急な針路変更により、積み荷を固定していたロープがほどけて左側に片寄り、航行の安定を保つ復元力が失われた可能性が高いとみられている。
朝鮮日報日本語版によると、セウォル号は150台の車両積載限度に対し180台を積んでいたことも判明。鈴木邦裕・神戸大海事科学部客員教授は「客室増設の改造を施して重心が高くなっている上、過積載でさらに重心が上がり、船体のバランスが悪くなった可能性がある」と指摘する。
乗客を救助しなかったとして特定犯罪加重処罰法(船舶事故逃走罪)違反容疑で逮捕された船長のイ容疑者も激しい批判にさらされている。
事故当時、セウォル号には船長以下、1等航海士や機関士ら約30人の乗員が乗船。船内放送で避難誘導して逃げ遅れた乗員1人を除き、全員が救助された。イ容疑者は、乗客に脱出指示を出さないまま船を離れている。
運航会社も、運航管理規定で義務付けられている10日ごとの消火訓練や人命救助の海上安全訓練をほとんど実施してなかったことも判明している。
お粗末ともいえる運航会社の安全管理態勢について、鈴木客員教授は「安全訓練の実施状況をしっかりチェックしていたのか、国の監視態勢も問われてくる」と話す。
修学旅行途中の高校生ら100人以上が命を落とした今回の惨事では、救助方法も議論の対象となった。
沈没船に穴を開け空気を注入する方法も検討されたが、「生存者に必要な船内の空気が漏れてしまう」といった家族らの懸念もあり見送られた。
救助活動に詳しい海難審判庁OBは「沈没船に穴に開ける行為は一概に善し悪しは判断できない」としつつも、「沈没するまで2時間もあった。海面に出ている船体を固定し穴を開けて救助に入る手法もあったはずだ。判断の遅れも被害拡大につながった可能性が高い」と指摘した。(SANKEI EXPRESS)
4月16日 韓国・仁川から済州島に向かっていた旅客船「セウォル号」(乗客乗員476人)が午前9時ごろ、珍島付近を航行中に遭難信号を発信、午前11時20分ごろに沈没。修学旅行中の高校生ら多数が行方不明に
4月16日 韓国政府は当初368人を救助と発表、約3時間後に164人に訂正
4月17日 朴槿恵(パク・クネ)大統領が行方不明者の家族が集まる珍島の体育館訪問
4月18日 修学旅行の引率責任者だった高校教頭自殺
4月19日 韓国政府の合同捜査本部が事故当時に操舵室を離れていた船長と操船していた女性3等航海士、操舵手の計3人逮捕
4月19日 潜水士が初めて船内から遺体収容
4月20日 政府高官が珍島の港で記念撮影しようとして更迭
4月21日 航海士3人と機関長1人の計4人を拘束
4月22日 死者数が100人超える