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【ウクライナ情勢】追加制裁 ロシア経済、打撃じわり

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【ウクライナ情勢】追加制裁 ロシア経済、打撃じわり

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【ウクライナ軍需産業】ドニエプロペトロフスク州、ハリコフ州、ザポロジエ州、ニコラエイフ州=2014年4月18日現在、※2014年3月18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は首都モスクワのクレムリン(大統領府)での演説で、ウクライナ南部クリミア自治共和国と特別市セバストポリのロシア連邦への併合を宣言した。  米国と欧州連合(EU)は、ロシアがウクライナの緊張緩和に向けた措置を取っていないとして、対露制裁を強化した。エネルギーなど基幹産業を標的にした措置には踏み込まず、制裁範囲も限定的なため、直ちに大きな影響は出ていない。だが、度重なる制裁はロシア経済にじわりと打撃を与えているもようで、マイナス成長に陥る恐れも出ている。

 基幹産業、標的にならず

 米欧の追加制裁が発表された4月28日、外国為替市場では逆に、ロシア・ルーブルがドルなどに対し上昇、モスクワ株式市場でも多くの銘柄が値上がりした。ロンドンの邦銀関係者は「制裁が予想よりソフトな内容だったため」と解説する。

 金融市場では今回の制裁措置について、主要な銀行やエネルギー関連企業を標的にするとの見方もあった。銀行やエネルギー関連企業が国外でドルやユーロで資金決済できなくなれば、ロシア経済は桁違いの打撃を受ける。

 だが、米国が資産凍結などの制裁の対象としたのは、国外での知名度がほとんどない小規模な金融機関や企業にとどまった。本格的な経済制裁に慎重な欧州との調整不足から、ロシアの基幹産業を標的にした制裁措置も見送られた。ウラジーミル・プーチン大統領(61)の側近中の側近である国営石油会社ロスネフチのセチン社長も在米資産凍結や米国への渡航禁止の対象に。EUはワレーリー・ゲラシモフ軍参謀総長らを制裁対象に追加した。ただいずれも個人への指定で、EUは企業への制裁そのものを見送った。

 「エネルギー企業や銀行への制裁を実行すれば、ロシアは失うものがなくなり、かえってウクライナ東部への侵攻の可能性が高まる」(英大手銀行)との見方もある。ただ、EUの慎重さの背景には、ロシアに代わる天然ガスの供給源を見つけるのが困難という事情もある。

 毎月2兆円が国外流出

 「われわれが結束するためには、外部から否定されているという心理を共有することが必要なのだろう」。ロシアのアンドレイ・ベロウソフ大統領補佐官(55)は28日、追加制裁の影響はあまりないとの認識を示した上で、難局が国を一致団結させると強がってみせた。

 しかし、ロシア経済の先行きは確実に不透明感を増している。2014年1~3月期はマイナス成長に転落し、毎月平均200億ドル(約2兆円)前後の資金が国外に流出。ベロウソフ氏は「14年は1.5~2%の経済成長が可能だ」と強気の姿勢を崩さないが、マイナス成長に陥る恐れは日に日に高まっている。

 ≪日本政府、23人にビザ発給停止≫

 日本政府は4月29日、ウクライナ情勢の緊張緩和で合意した声明をロシアが履行せず、ウクライナの主権や領土の一体性を侵害する動きが続いているとして、露政府関係者ら計23人への査証(ビザ)発給を当面停止する追加制裁を発表した。岸田文雄外相(56)は「ロシアに自制と責任ある行動を求めていかなければならない」と成田空港で記者団に強調した。一方、露外務省は対抗措置をとる方針を明らかにした。

 ロシアに対し、日本政府は3月、投資や宇宙などに関する3つの国際協定締結交渉の開始を凍結するなどの制裁措置を実施済みで、今回は第2弾となる。

 日本を含む先進7カ国(G7)などは4月26日、ロシアへの追加制裁に向け「速やかに行動する」とした声明を発表。米政府は28日、露政府当局者7人の在米資産凍結などを決定。日本はそれに歩調を合わせたが、北方領土交渉への影響を考慮して緩やかな内容にとどめた。

 ウクライナ情勢をめぐっては米国、ロシア、ウクライナ、EUの4者が(4月)17日、スイス・ジュネーブでの外相級協議で、ウクライナ東部での緊張緩和策などで一致した。しかし、米国などはロシアが履行に向けた措置を取っていないと批判している。

 チャック・ヘーゲル米国防長官(67)とセルゲイ・ショイグ露国防相(58)は(4月)28日、緊張が続くウクライナ情勢をめぐって電話会談し、ショイグ氏は露軍をウクライナに侵入させないことを保証すると表明した。米国防総省が発表した。

 ヘーゲル氏は、ウクライナへの介入が続けば外交的、経済的圧力が強まり、ロシアは一層孤立すると警告。ウクライナ東部で親露派に拘束された欧州安保協力機構(OSCE)の監視団員の解放に協力を求めた。

 露国防省などによると、ヘーゲル氏はロシアがウクライナ国境地帯で部隊を増強し、状況の不安定化を招く演習をしていると懸念を表明。ショイグ氏は、ロシアがウクライナに工作員を送り込んでいるとの指摘には根拠がないと反論した。

 さらにショイグ氏は、ロシア国境に近い東欧での米軍など北大西洋条約機構(NATO)の部隊の活動は「前例のない(規模の)ものだ」と批判。ヘーゲル氏は、NATOの活動は「挑発的でも拡張主義的でもない。同盟国の防衛力強化のためだ」と説明した。(共同/SANKEI EXPRESS

 【米政府が発表した対ロシア追加制裁ポイント】

・ロシアによるウクライナへの違法な介入に対処するため米政府は新たな措置を発動する

・ロシアはジュネーブでの4者協議で緊張緩和に向けた対応で合意したにもかかわらず、何ら措置を講じていない

・新たにロシア政府当局者7人の在米資産を凍結し、渡航を禁止。プーチン政権と関係の深い17企業の資産を凍結

・ロシア国防産業の助けになり得る先端技術の輸出許可申請を拒否し、既存の許可を無効とする

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