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総勢127人が紡ぐ 兄と妹の物語 ストリートダンス舞台「*ASTERISK」
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強烈なビートが鳴り出すと、ステージ上に作られた2階では横一列になって独特の振りで体をくねらせるダンサーがスポットライトに浮かび上がり、ステージ両サイドからは宙返りしながら中央に躍り出るダンサーの姿も…。
総勢17組127人の日本人トップダンサーが集結し、それぞれが得意とするダンスで壮大な物語を紡ぐ新しいダンス・エンターテインメント「*ASTERISK(アスタリスク)」が11日まで東京都千代田区の東京国際フォーラムで行われている。昨年(2013年)5月の初演が好評を得たことから、再演となった。
公演はストーリー仕立てのストリートダンス。兄と妹が父の死を契機にさまざまな裏切りに遭い、孤児院に引き取られる。境遇から抜け出そうとする2人は離ればなれになり、自暴自棄になりながらも19年後のスーパームーンの日に再会することを信じてけなげに生きていく…。
兄役は、世界の演劇祭から招かれるストリートダンス集団「DAZZLE(ダズル)」を主宰する長谷川達也さん(37)。総合演出も手掛けた。妹役には、少女時代の美脚ダンスを生み出したほか、BoAやAKB48らの振り付けを手掛ける振付師でダンサーの仲宗根梨乃(りの)さん(34)。
他にも、今回の公演のために作ったオリジナル曲に乗せてコミカルなジャズダンスで楽しませてくれる「梅棒」や、男子新体操とダンスを融合させたアクロバティックなパフォーマンスで注目され、昨年(2013年)7月には世界的デザイナー、三宅一生さんとのコラボレーションを果たした「BLUE TOKYO」など、タイプの異なるダンサーが次々とステージに現れては得意のダンスを熱演した。
≪「掛け算効果」 心打つパフォーマンス≫
ストリートダンスは、伝統的なバレエなどに対して1980年代にニューヨークの若者が路上で始めたさまざまなダンスの総称だ。体を激しく震わせたり、「ウエーブ」という体を波打たせるような動きをするなどの特徴があり、ジャンルもジャズダンスやヒップホップ、ブレークダンスなどさまざま。ここ数年、ストリートダンスの劇場公演は増えている。
公演をプロデュースしたパルコ・エンタテインメント事業部の中西幸子さんは「ステージからはポジティブなエネルギーを感じられるし、演劇ファンも面白いと思うのではないか。ミュージカルを見慣れている人たちにとってもダンサーの動きは心打つと思います」と話す。
実は中西さん自身、「ビートの効いた音楽も好きではなかったし、だいたいストリートダンスは若い人のもので大人が楽しむものではない」と思っていたという。それが6年前、パリでストリートダンスの舞台作品を見て偏見が払拭された。非常に高いダンス技術と分かりやすいストーリー展開に無条件に楽しめたという。さらに会場を見渡すと10代から60代以上までという客層の幅広さに驚いた。「こうしたダンスの流れはやがて日本にも来るだろう」と直感。2011年7月、神奈川芸術劇場(KAAT)で海外のダンスカンパニーを招いて「ストリートダンスフェスティバル」を行ったのを皮切りに昨年(2013年)、ASTERISKを初演した。「バリアを取り払った新しいステージパフォーマンスとしてぜひ期待してもらいたい」と話す。
また、DAZZLEの長谷川達也さんも「物語の中で展開するそれぞれのキャラがあり、踊りのみならず音楽、衣装などで作る舞台としてすごく芸術的だし、エンターテインメント性もある。ダンスを知らない方も楽しめるステージです」と胸を張る。
公演タイトルの「アスタリスク」は、掛け算や乗数の記号として使われる。ダンスと物語、さまざまなダンサーのコラボレートを意味し、作品の要素の掛け算効果を生み出すという。(写真・文:田中幸美(さちみ)/SANKEI EXPRESS)