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【相川梨絵のバヌアツ通信】レイマタウィア 娘に「島の名前」
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娘はバヌアツ初代大統領のジョージ・ソコマル氏から「カスタムネーム」をもらう儀式に臨に臨みました=2014年5月、バヌアツ(相川梨絵さん提供) 先日、娘がバヌアツの名前「カスタムネーム」をもらいました。バヌアツ人は、トニーやバネッサなど両親がつける名前のほかに、多くの人が村のチーフなどからもらうカスタムネームを持っています。それは、村の言葉で、意味を持ちます。
例えば、平和だったり、サメ、海などの身近なものの名前だったりします。家族ぐるみで親しくしているバヌアツ初代大統領のジョージ・ソコマル氏。バヌアツの歴史上では、とても偉大な方なのですが、わが家にバナナを持って遊びに来てくれるとてもチャーミングなおじいちゃん。彼が娘の名付け親になってくれることになりました。
時期は、ヤム芋が採れるこの時期。バヌアツの祭りにはヤム芋は欠かせません。ちなみに、元祖バンジージャンプの発祥の地として有名なバヌアツ、日本では成人の儀式として伝わっていますが、実はヤム芋の収穫祭なのです。
セレモニーは、ジョージが住む村近くのビーチで行いました。ジョージが、伝統的な衣装に着替え、私も娘もバヌアツのアイランドドレスに身を包みました。ジョージから「バヌアツへようこそ、これからは私たちの仲間だ」という歓迎の言葉をいただいた後、娘にカスタムネームが言い渡されました。お祝いの品として、ソコマル夫人が作ってくれたアイランドドレス、家族3人分の生地、葉っぱで編んだきれいなマット、ヤム芋、カバの木、生きた鶏が贈られました。娘に新しいアイランドドレスを着させ、私たちは布を肩にかけます。頂いた品の周りを3周し、最後の1周は、一つ一つに触れながら歩きます。これで、メーンの儀式は終了。
続いて、私たちからのお礼です。ジョージに、自宅から用意したマットと生きた豚を渡しました。豚はここでは富の象徴。生きた豚は、最上級の贈り物です。この豚、主人が知り合いのバヌアツ人から買いました。会場へ向かう道中、私たちは豚さんと一緒の車。車内のにおいはなかなかのものでした(笑)。そんな私たちの贈り物の周りもジョージが同じように3周し、最後は手を触れていきます。
そして、最後にカバの儀式です。カバとはバヌアツの伝統的な飲みもの。コショウ科の植物の木の根をつぶして、こしたものを、ココナツの器に入れて一気に飲みます。味は泥水のよう。決しておいしくはないのですが、お酒のような酩酊(めいてい)作用があり、祭りでは必ず男たちは飲まなければなりません。
古くから、カバを飲むと先祖と会話ができるとされ、村で問題が起きたときは、チーフがカバを飲んで、先祖の助言をもらって解決に導きました。現在は、女性も飲むことができ、そこら中にカババーがあるので、バヌアツ人にとってはとりあえず1杯のビールのような身近なものになっていますが、やはり、儀式のときのカバとなると神聖なものを感じます。
最初の1杯を地面へ注ぎます。これは先祖に娘の健康と明るい未来をお願いするため。その後、この村のチーフ、主人と続いて、最後は、名付け親のジョージが飲んで、セレモニーは終了。とてもシンプルで簡単な儀式ではありましたが、これからバヌアツで育つ娘に、ますますすくすく育ってほしいという気持ちがこみ上げてきました。
「レイマタウィア」。娘がもらったカスタムネーム。レイは女性を意味し、マタは「目」、ウィアは「美しい」だそうです。つまり、「美しい瞳」。とてもすてきな名前を頂きました。私も主人もすごく気に入っています。娘も気に入ったのか、「レイマタウィアちゃん!」と呼ぶと、「はい!」と返事をします。これから、その美しい瞳で、たくさんのものを見てほしいです。(バヌアツ親善大使、フリーアナウンサー 相川梨絵/SANKEI EXPRESS)