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古い浴衣の中にトレンドが 平松昭子
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古い浴衣の中にトレンドが(イラスト:平松昭子さん提供)。http://kimonosnack.blogspot.com
作家の宇野千代さんのエピソードで素敵なお話があります。波瀾(はらん)万丈な人生の彼女は、会社が倒産してしまい大好きな着物もほとんど手放してしまった頃、お葬式で浴衣を着ていったそうです。浴衣は洋服でいうとTシャツのようにカジュアルなもの。窮困の中とはいえ最低限の洋服などあったと思うのですが、なぜあえて浴衣を選んだのかは分かりません。もしかすると手元に残す衣類を考えたときに、お葬式のことも頭にいれて取っておいたものがその浴衣だったのかもしれません。浴衣は着物の中では一番格が下になるけれども、確かに場にふさわしい気がしてきました。想像してみてください。例えば、深い藍染の浴衣をきちんと着て足袋を履いた姿は派手でも地味でもなく、お別れの場に相応わしい凛とした空気をかもしだすと思うのです。千代さんの事情と彼女の立場があってからこそ成り立つものですので、お葬式で浴衣がOKだと安易に思わないでくださいね。彼女のそういったスタイルを立派だと思って、自分なりの浴衣に対する思いを見直すことにしてみました。
今年はボタニカル柄が流行です。ステラマッカートニーやヴィヴィアンウエストウッドでは大胆な植物柄のお洋服がたくさん。しかし予算オーバーでしたので似たようなものをZARAで見つけ、さらに手持ちのものでないか衣装部屋でも探してみることにしました。すると浴衣の柄には色んな植物の模様があることに気付きました。10枚中7枚の浴衣がボタニカル柄だったのです。10年以上前にあつらえた鉄線の花の柄はまさにトレンド。実はこの浴衣、あまり好きではなかったのですが呉服屋さんで勧められるままあつらえてしまい、たんすの奥で眠っていたもの。毎年、妹にあげようか悩んでいた浴衣です。あげなくてよかったです。まだ6月ですので浴衣の時期には早いですが、日舞の教室では年中浴衣を着るので早速着てみました。生徒さんたちや近所のパン屋さんでも褒められてとてもうれしいです。7月になったら、いろんなところに着ていきたいです。もうすぐやってくる猛暑も、なんだか楽しみになってきましたよ。(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS)