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「求刑1.5倍」裁判員の量刑見直しへ 幼児虐待死事件で最高裁弁論

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「求刑1.5倍」裁判員の量刑見直しへ 幼児虐待死事件で最高裁弁論

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相次ぐ児童虐待事件。斎藤理玖ちゃんの遺体が発見された神奈川県厚木市のアパートの部屋の前には、たくさんの花やお菓子が供えられている=2014年6月23日(岩崎雅子撮影)  大阪府寝屋川市で2010年、当時1歳の三女に暴行を加え死亡させたとして傷害致死罪に問われた父親の岸本憲(あきら、31)と母親の美杏(みき、31)両被告の上告審の弁論が6月26日、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)で開かれた。いずれも検察側求刑(懲役10年)を上回る懲役15年とした1、2審判決について、弁護側は「量刑の均衡を甚だしく欠いた重い判決」と主張。検察側は「裁判員裁判の量刑判断は十分尊重されるべき」と上告棄却を求めた。

 2審の結論見直しに必要な弁論が開かれたため、1、2審判決が見直される可能性がある。

 1審大阪地裁の裁判員裁判判決は、憲被告の暴行が死因につながったと認定。美杏被告の共謀も認めた上で「殺人罪と傷害致死罪との境界線に近い」などとして懲役15年を言い渡した。

 2審大阪高裁も「検察官の求刑を大きく上回っているなどの事情があるからといって、重すぎて不当とはいえない」などとして、1審を支持した。

 1、2審判決によると、両被告は共謀し10年1月、寝屋川市の自宅で、憲被告が三女、瑠奈ちゃんの頭を平手で強打して床に打ち付けるなどの暴行を加え、10年3月に死亡させた。

 ≪「求刑超え」 最高裁どう評価≫

 2009年5月の裁判員制度導入以降、検察官の求刑よりも重い判決を言い渡す「求刑超え」は、主要8罪名だけで43件を数える。「裁判官裁判よりも求刑超えが出やすい」との指摘もある中、過去の量刑傾向を大きく上回る裁判員裁判の判決を、最高裁がどう評価するかが注目される。

 最高裁は今年3月末までに出された判決のうち、殺人▽殺人未遂▽傷害致死▽(準)強姦(ごうかん)致傷▽(準)強制わいせつ致傷▽強盗致傷▽現住建造物等放火▽覚せい剤取締法違反-の8罪名に絞って「求刑超え」の割合を調査し、裁判官裁判と裁判員裁判で比較した。

 裁判官裁判(08年4月以降)で「求刑超え」とされた被告は2人で、全体の0.1%。これに対し、裁判員裁判(09年5月以降)では1.0%にあたる43人で、単純比較はできないものの、裁判員裁判で増加傾向にあることが伺える。

 裁判員裁判の「求刑超え」判決が上級審で修正された例もある。

 姉を殺したとして殺人罪に問われた男性被告について大阪地裁は、広汎性発達障害の一種、アスペルガー症候群の影響があったと認定し、「反省が不十分で、社会内に障害に対応できる受け皿がない」と指摘。「再犯の恐れが高い」とし、求刑懲役16年に対し、懲役20年を言い渡した。

 2審大阪高裁は「再犯の恐れがあるといえるほど反省が乏しいとはいえない」と1審を破棄、懲役14年とし、最高裁で確定した。

 女児傷害致死事件の上告審弁論で、弁護側は「下級審は事件の背景にある幼児虐待など、罪となるべき事実以外の事情を重視している」と指摘。検察側は「日常的な暴行の延長線上にあると評価でき、顕著な悪質性がある」としている。

 最高裁の示す判断によっては、他の事案にも影響を与えそうだ。

 ≪厚木市 子供の安否確認徹底へ≫

 神奈川県厚木市のアパート一室で斎藤理玖(りく)ちゃん=当時(5)=の白骨遺体が見つかった事件で、市や児童相談所、警察でつくる「要保護児童対策地域協議会」は6月26日、厚木市内で会合を開き、所在が分からない子供の安否確認の徹底や協議会の組織強化を盛り込んだ再発防止策をまとめた。

 所在が分からない子供がいる場合、市や教育委員会が2週間に3回、異なる時間帯に家庭訪問をして子供の安否を確認することや、住民基本台帳や就学事務を担当する市職員を加えて協議会の会合を開き、情報交換を進めることを定めた。

 市教委は「居所不明児童に係る対策会議」も事務局に新設、子供の転出や欠席状況の把握に努める。

 会合に出席した小林常良市長は記者会見で「このような事件を二度と起こさないため、職員の緊張感を高めて最大限の対応をしたい」と述べた。

 理玖ちゃんの遺体は死亡から7年以上たったことし5月末に見つかり、保護責任者遺棄致死などの疑いで父親の斎藤幸裕容疑者(36)が逮捕された。市教委や児相は、小学校に入学していないなど確認の機会があったのに踏み込んだ調査をせず、問題となった。(SANKEI EXPRESS

 ■裁判員裁判 刑事裁判に市民感覚を反映させる目的で、有権者から無作為に選ばれた裁判員と裁判官が共同で審理する制度。最高刑が死刑または無期懲役か、故意に被害者を死亡させた事件が対象で、有罪、無罪と量刑の判断をする。

 最高裁によると、2009年5月の裁判員法施行から今年4月末までに約4万9000人が裁判員や補充裁判員を経験した。

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