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中仏融合 手間暇かけた新感覚 ヌーベルシノワ 婆娑羅
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名物料理「蒸しアワビのあえそば」。濃厚な味わいはクセになりそう=2014年6月16日、京都市東山区(恵守乾撮影)
≪豚、牛、エビ…厳選食材≫
平安時代に創建されたとされる泉涌寺(せんにゅうじ)の門をくぐり、聖徳太子ゆかりの悲田院に通じる石段の脇にひっそりとたたずむ“隠れ家”が「ヌーベルシノワ 婆娑羅(ばさら)」。落ち着いた和風空間で、中華とフレンチのテイストが味わえる。厳選した食材に手間暇をかけて仕上げたメニューの数々はいずれも絶品だ。5月にオープンしたばかりだが、口コミで評判を聞きつけた来店客から続々と予約の申し込みが寄せられている。
コース料理の序章に登場するのは「甘鯛とナマのクラゲの中華風カルパッチョ、サラダ仕立て」。メニューの名称は料理を分かりやすくそのまま表現している。皿の中央にマーシュやデトロイトなどサラダ用の野菜がこんもりと盛りつけられ、砕いたカシューナッツがちりばめられている。
酢とピーナツ油を使った中華じょうゆは味の引き締め役だ。オーナーシェフの斎藤博人さん(40)は「弾力ある甘鯛と、グミのような生クラゲ、カシューナッツのカリッとした食感を楽しんでください」と話す。
「焼き物2種類」は、山形県の「平田牧場」から取り寄せた生後200日の金華豚を3時間漬け込んだ特製チャーシューと皮付き豚バラ肉の塩焼き。
チャーシューはみそ風味の茶色いソース、豚バラ肉は黄色いディジョンマスタードソースで味わう。3日間乾燥させた後に高温で焼き上げたという豚バラ肉の皮はカリッとして塩加減もほどよい。台湾産ライチーを添えているのもうれしい演出だ。
「大海老のチリソース」は四川(しせん)料理からの一品。コメと米麹などからつくった特製チリソースは辛さが心地よい。「さらにピリッとした刺激が欲しい」という人のため、皿の周囲に花山椒がちりばめられている。
「近江牛と伏見の甘長トウガラシのアンコールペッパー炒め、賀茂ナス添え」もこだわりのメニューだ。近江牛はイチボ肉(牛の臀部の肉)を卵に漬け込み、水分が逃げないように片栗粉をつけて油通ししたというだけに柔らかい。カンボジア産の香辛料、アンコールペッパーはちょっぴり刺激的な味わい。皮ごと蒸し焼きにした賀茂ナスは、どこか素朴で懐かしい味わいだ。
当店名物の「スペシャリテ」は「蒸しアワビの四川大豆ソース、その肝のあえそば」。「これを目当てに訪れるお客さんも多い」(斎藤さん)そうだ。戻した大豆を豆板醤(空豆を発酵させたみそ)に漬け込んで蒸したアワビと絡めた。また、アワビの肝をベースにつくったソースを自家製の細麺とあえたそばは、“食べるラー油”のようでコクのある濃厚な味わい。
コースの終章に提供される「四川担々麺」もまた、ゴマを煎った濃厚なスープが持ち味だ。甜麺醤(小麦粉と塩からつくったみそ)で炒めた豚の挽き肉や、添えられた漬け物を一緒に口に運ぶと、味の変化が楽しめる。
ワインは仏ブルゴーニュ産を中心に、シャンパン、赤、白の26種類をそろえる。
客席はカウンターのみで、木のにおいが薫るマホガニー材の長テーブルに料理が並ぶ。ガラス窓からは悲田院のモミジが望め、夜には幻想的な雰囲気に…。普段はほとんど人通りのない奥まったロケーションにたたずむ、知る人ぞ知る創作中華の名店でもある。
斎藤さんは「麻婆豆腐などよく知られる中華メニューも、先例にとらわれずに私なりにアレンジし中華の新たな姿を追求していきたい」と意欲を見せている。(文:巽尚之/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)