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心身を輝かせる 個性的な手仕事 水金地火木土天冥海

 ≪ネパール王室の気品 日本の素朴≫

 ムーブメントになってはすぐ飽きられる大量生産品とは逆を行く、「一生もの」のアクセサリーに出合えそうなのが、インドなどで手仕事により生み出されたアクセサリーを集めるショップ「水金地火木土天冥海(すいきんちかもくどてんめいかい)」。アジア辺境の村に伝わってきた装飾具をコインや宝石などと組み合わせて作られたネックレスや、インドの女性たちがひと針ずつ手で刺繍(ししゅう)したカラフルなバッグなど、二つとない、個性的なアイテムがそろっている。

 同じものはない

 「ダイヤモンドやルビーなど自然が育んだ美しい石の持ち味をいかし、丁寧に手仕事がほどこされた品々を世界中からセレクトしています。そのボーダーレスな美しさをみなさんに紹介したい」。繊細な彫金細工が施されたインド産のアクセサリーを手に取りながら、水金地火木土天冥海(以下、水金)のバイヤー、土村真美さんは語り始めた。

 2003年にバックパックを1つ背負って始めたという買い付けの旅は新たな価値観との出合いの連続。インドでは人々がアクセサリーに込める特別な思いを知った。「着飾るためではなく、パワーの源や心のよりどころとして身につけられていました」。アクセサリーとともに生きる人々の姿が美しいと肝銘を受け「水金のジュエリーも、自立して生きる女性たちのお守りのようでありたい」と心に決めた。

 水金オリジナルのジュエリーは、宝石に関わる商人、職人が集まるインド北部の都市、ジャイプールで石から買い付ける。その石を、現地の金職人らにデザイン案を伝え、ジュエリーに。こうして生まれたのが、整えすぎずナチュラルな姿を残したダイヤモンドが一列に連なるリングなど。デザインが同じでも、一つ一つの石の輪郭、色合い、連なり方が少しずつ異なり、同じものがない。1つ選んで身につければまさに自分だけのお守りになる。

 もう一つ、水金のジュエリーに触れて気づくのは、ブラウン、イエロー、薄いグレー…ダイヤモンドには本来多様な色があることだ。

 「透明が美しいとされていますが、そうとも限らない。イエローのダイヤなんて、柔らかくて優しい輝きじゃありませんか?」。加工されてもなお、石そのものの個性が生きている。

 ジュエリーへの愛情

 デザインでも個性派ぞろいだ。その一つが、代々ネパール王室にジュエリーを納める家系で世界的な古代ビーズの収集家、インドラ・マン・スヌワール氏が手掛けたジュエリーだ。アンティークのパールと22金でできたインドの古いノーズティカ(鼻ピアス)に、美しい飴色のエチオピアンオパールやピンクサファイアをあしらったチャーム、さらにオレンジガーネットを重ねたネックレス(25万円)=写真上=は、気品が漂う。貴重な宝石を使った、日本人は考えつかないような色やパーツの組み合わせがインドラ氏の作品の魅力だという。

 一方、素朴な力強さを感じさせるアクセサリーは、日本人デザイナー夫妻が手掛ける「Minakusi(ミナクシ)」のもの。夫妻は年1度、タイの山間部やインド、メキシコなど世界中を旅して集めた、アンティークの宝石や、各地の少数民族に伝わるお守りやボタンなどパーツを組み合わせ、独創的なアクセサリーを生む。歴史や人々の手を経て生まれた「くすんだ美しさ」(土村さん)が持ち味だ。写真下のネックレスに使われたヤオ族に伝わるアンティーク銀製の七宝装飾品は角が丸く取れ、使用感がある。「家族に大切に伝えられたものなのでしょう。譲ってくれた人の背景も含めて、買ってくださる方におつたえできればという思いです」と土村さんの言葉には、ジュエリーへの愛情が満ちていた。(文:津川綾子/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 東京都渋谷区神宮前5の2の11 H.P.DECO3階 (電)03・3406・0888。午前11時~午後7時30分、不定休。※価格はすべて税別です。

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