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【Message from the Ocean】(2)メキシコ・ムヘーレス島 大物に興奮 もっと近くで見たい

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【Message from the Ocean】(2)メキシコ・ムヘーレス島 大物に興奮 もっと近くで見たい

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捕食のために、海中でグルグルと回転するマンタに向かって、素潜りでアプローチを試みる、長男の海友(かいと)君=2013年7月27日、メキシコ・カンクン沖のムへーレス島(越智隆治さん撮影)  「あっ、来た! あっちからも、こっちからもジンベエザメが来るよ!」「下にはマンタもたくさん泳いでる!」

 巨大な海洋生物に囲まれて、水中マスクをかぶった10歳の長男、海友(かいと)が、興奮しながら水面に顔を出し、うれしそうに私に向かって叫ぶ。その直後には、臆することもなく、その巨体に少しでも接近しようと小さなフィンをキックして、スキンダイビングを試みた。「ずいぶんたくましくなったな」。息子の成長ぶりに思わず目を見張った。

 2013年7月、メキシコのユカタン半島にあるリゾート地、カンクンの沖にあるムヘーレス島に家族で滞在して撮影を行った。狙ったのは、世界最大の魚、ジンベエザメの大群だ。

 一匹に遭遇するだけでも大興奮する、ダイバーが最も会いたい海洋生物の一つだ。それが、ここでは、いけすに飼われているかのように、海面に背びれと尾びれを出して、うじゃうじゃと泳ぎ回っている。その数、少なくとも300匹以上。

 なぜこんなに集まるのかというと、この時期に、この海域でカツオの大産卵が行われ、プランクトンやオキアミなどを主食とするジンベエザメは、その卵を食べに集まって来るのだという。実際、海に入って泳いで、ボートに戻ってくると、身体のそこかしこに、半透明のつぶつぶした、カツオの卵が付着しているのに気づく。

 ≪ベストショット狙い 親も夢中≫

 通常は、ジンベエザメだけが群れるのだが、この時は、なんと100匹以上のオニイトマキエイ、通称マンタまで捕食に合流して、すごいことになっていた。「こんなこと初めてだよ!」と僕らがチャーターしたボートのキャプテンもそのすごさにあきれて大笑いしていた。

 ジンベエザメの大群が見られる時期は、観光客を乗せたボートも、その海域に70隻以上が姿を見せる。中には、小さな赤ちゃんを乗せているボートもあり、ぶかぶかのライフジャケットを着せた赤ちゃんを抱えて、ジンベエザメに接近し、写真やビデオにその様子を収めようと懸命に泳ぐ、親ばかな父母たちの姿もちらほらと見ることができる。

 かくいう私も、7歳の次男、颯友(はやと)と10歳の長男、海友(かいと)が、ジンベエザメやマンタと一緒に泳いでいるシーンの撮影がしたくて、プロの水中写真家という立場を忘れて、「こっちに来い!」「今だ、潜れ!」と息子たちに指示を出し、夢中になって泳ぎ回っていた。

 この連載「Message from the Ocean」では、撮影旅行に同行する息子たちと海の生き物たちとの交流も、このような感じでたまに紹介したいと思っている。(写真・文:海洋フォトジャーナリスト 越智隆治(たかじ)/SANKEI EXPRESS

 ■おち・たかじ 1965年、神奈川県生まれ、千葉県浦安市在住。慶応義塾大文学部卒。産経新聞社写真報道局を経てフリーの海洋フォトジャーナリストに。スキューバダイビングと海の総合サイト「ocean+α(オーシャナ oceana.ne.jp)代表。大物海洋生物をテーマに世界中の海を舞台に撮影し、これまでのダイビング数は7000本。「海からの手紙」(青菁社)、「WHALES! クジラ!大写真集」(二見書房)など著書多数。個人のウェブサイトは、INTO THE BLUE(takaji-ochi.com)。バハマでタイセイヨウマダライルカと泳ぐクルーズなど世界中の大物海洋生物と泳ぐツアーを企画している。

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