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【Q&A】BRICS首脳会議 先進国主導に対抗 政治経済で台頭

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【Q&A】BRICS首脳会議 先進国主導に対抗 政治経済で台頭

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新興5カ国「BRICS」各国のデータ=2014年7月20日現在、※いずれも推計、国連統計などによる  新興5カ国「BRICS」の首脳会議が7月15、16の両日、ブラジルで開かれ、「新開発銀行」設立を決めた。

 Q BRICSとは?

 A 近年、経済が急速に発展してきた新興国と呼ばれる国々の中でブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国のこと。英語の頭文字を並べているよ。南アフリカを除いた4カ国で始まり、2009年から首脳が毎年集まっている。11年から5カ国になった。

 世界の人口の4割強を占め、豊富な天然資源を背景として経済力だけでなく、シリア内戦やイラク情勢など国際的な外交問題についても提言して政治的な発言力も増しているよ。

 Q BRICSの役割とは?

 A 戦後、欧米など先進国が世界の政治や経済を引っ張ってきたけれど、経済危機で先進国に勢いがなくなり、世界は新興国の成長に頼るようになった。中国が台頭して、ウクライナの紛争をめぐって主要国(G8)からロシアが外されるということも起きた。

 世界経済の中で存在感が大きくなっているBRICSが、これまでの先進国主導に対抗し、新たな仕組みをつくろうとしているんだ。

 Q 新開発銀行とは?

 A BRICSの5カ国がお金を出し合ってつくる金融機関のこと。本部は中国の上海に置き、初代トップはインドから選ぶ。アジアやアフリカなどの途上国支援が目的で、道路や鉄道の整備などでお金を必要としている国に貸すんだ。

 Q なぜこのような銀行が必要なの?

 A これまで途上国がお金を借りる際、労働条件や環境配慮といった先進国が課した厳しい基準をクリアしなくてはならなかった。支援を得ようにも難しいとの不満もあった。そうしたことをなくそうとしている。

 Q 問題はないの?

 A 支援が必要な途上国がBRICSの国と問題を抱えている場合、支援を受けることができるのかという問題もある。例えば、中国はベトナムやフィリピンなどと領有権の問題を抱えている。また、中国がインドやロシアと紛争を経験したようにBRICSの中にも問題は残っていて、今後も協調を続けられるのか注目が集まっているよ。

 ≪中国、新開発銀行の主導権握る≫

 発展途上国支援を目的とする「新開発銀行」の本部は、中国・上海に置かれる。中国は新銀行運営で主導権を握るとともに上海を国際金融センターにする構想を後押ししたい考えだ。

 中国はアジアの社会基盤整備を支援する「アジアインフラ投資銀行」の設立構想も着々と進めており、国際経済での影響力拡大を目指す。本部の誘致は中国とインドの間で綱引きがあったとされる。経済規模が新興国最大で、途上国でのインフラ投資でも多くの経験を持つ中国に軍配が上がった形だ。

 本部の設置は「上海の国際金融センターとしての基盤整備に利点がある」(中国の金融政策に詳しい専門家)とされる。

 新開発銀行が実際に途上国でインフラ投資を行う場合、欧米を含む大手金融機関も融資に参加することが見込まれる。情報や人脈が集まり、結果的に各国の金融機関がさらに上海を重視するようになる可能性がある。

 将来、中国で金融市場の自由化が進めば、新開発銀行が人民元建て債券を発行し、途上国が人民元で融資を受け取ることも想定される。中国が進める人民元の国際化戦略とも合致しているといえそうだ。(共同/SANKEI EXPRESS

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