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第2の告発者現る 米当局戦慄 暴露サイトにテロ要注意人物機密文書
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【ボストン爆弾テロ】ボストン市街の爆発現場=2013年4月15日、米マサチューセッツ州(※米メディアによる) 米政府機関の「国家テロ対策センター」が作成した要注意人物リストなどに関する機密文書が8月6日までに、インターネットの暴露サイトに掲載された。ロシアに亡命中のCIA(中央情報局)の元職員、エドワード・スノーデン容疑者(31)が持ち出した大量の機密文書に基づく暴露が続いてきたが、米政府当局者は、CNNテレビに対し「新たな告発者」の存在を認めた。情報を漏洩(ろうえい)した人物の特定に全力を挙げる構えだが、米政府は次々と現れる告発者に戦々恐々となっている。
「インターセプト」と名付けられたサイトに掲載されたのは、テロリストやその疑いのある要注意人物約100万人を網羅したデータベース「TIDE」などに関する文書。このサイトは、スノーデン容疑者から機密文書の提供を受けて米情報機関による大規模な情報収集活動についてスクープした英ガーディアン紙の元コラムニスト、グレン・グリーンウォルド氏(47)が設立に関わった。
今回暴露された文書は米国防総省が運営するコンピューターネットワークに保存されていたもので、スノーデン容疑者が機密文書を持って勤務先のあるハワイを離れた2カ月後の昨年(2013年)8月に作成されたという。
インターセプトは「情報機関関係者から入手した」としており、スノーデン容疑者と別人なのは明白だ。
スノーデン容疑者が持ち出したものに比べると機密度は低いとされるが、各ページに機密扱いで同盟国への提供も禁止する「SECRET/NOFORN」の刻印があり、米当局内に戦慄が走ったのは疑いようがない。
内容も衝撃的だ。例えば、TIDEにリストアップされた100万人のうち68万人はテロリストと判断した監視対象者で、その内訳はアルカーイダ所属が7万3189人、タリバン所属が6万2794人、無所属が28万人と詳細に記されている。
また、航空機への搭乗を拒否する「飛行禁止者リスト」として4万7000人を掲載。その数は、オバマ政権が誕生した2009年以降に約10倍に激増しており、監視の目が急に厳しくなったことがうかがえるという。
さらに昨年(2013年)4月に起きたボストン・マラソン大会爆弾テロ事件を機に、個人の生体識別情報の本格的な収集を開始。約13万人分の顔写真や指紋、網膜などの情報計73万件がTIDEに登録されたと暴露している。
今回の暴露にも関与したとみられているグリーンウォルド氏は今年2月、CNNに対して、「スノーデン氏の勇気と、彼が成し遂げた偉大な善行に触発された人物がいる」と語り、新たな告発者の登場を予告。さらに「政府によるひどい悪行に加担させられた情報提供者が複数存在するのは疑いようがない」と語り、第2、第3の告発者が続くと断言していた。
オバマ政権は、スノーデン容疑者を「国を裏切った犯罪者」(ジョン・ケリー国務長官)と敵視。その暴露によって、テロ対策や安全保障に重大な支障が出たとし、機密情報の漏洩者には厳罰で臨む姿勢を打ち出している。
ただ、2010年に内部告発サイト「ウィキリークス」に米軍の機密情報を漏洩し禁錮35年の刑に服している米陸軍兵士のブラッドリー・マニング受刑者(26)やスノーデン容疑者、そして今回と、告発者は後を絶たないのが実情だ。(SANKEI EXPRESS)