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「安保と個人情報」議論呼ぶ ピュリツァー賞 NSA報道の米英2紙

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「安保と個人情報」議論呼ぶ ピュリツァー賞 NSA報道の米英2紙

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米中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン容疑者(共同)  米報道界最高の栄誉である第98回ピュリツァー賞が4月14日発表され、米中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)が提供した機密文書を基に、米国家安全保障局(NSA)の個人情報収集活動の実態を暴露した英紙ガーディアンと米紙ワシントン・ポストの報道が公益部門での受賞となった。国家機密を漏洩(ろうえい)する犯罪によってもたらされた情報に基づく報道の受賞に反発の声が上がる一方、ピュリツァー賞の事務局では、安全保障と個人情報保護の関係をめぐる議論を世界的に広げたことを受賞理由にあげ、両紙の報道姿勢を高く評価した。国家の利益と個人の権利が対立したとき、どのようにバランスをとって報道するべきなのか、ジャーナリズムのあり方を改めて問い直す受賞となった。

 ピュリツァー賞は、米国内の報道、文学芸能、音楽の3分野計21部門を対象に、優れた業績を挙げた個人・団体に毎年贈られるもので、ニューヨークのコロンビア大学ジャーナリズム大学院が運営している。

 通信傍受など暴露

 AP通信やロイター通信などによると、スノーデン容疑者が入手し報道機関に提供した大量の機密文書には、NSAがテロ対策の名目で一般市民の電話の通話履歴や電子メール、ネットの利用履歴といった個人情報を極秘裏に収集していたほか、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(59)ら各国指導者の通話も傍受(ぼうじゅ)していた証拠が記してあった。

 その内容をガーディアン紙とワシントン・ポスト紙が昨年(2013年)6月にいち早く報道。米政府による監視活動への怒りが世界規模で拡大したため、バラク・オバマ米大統領(52)は同盟国首脳に対する盗聴の自粛といったNSAの活動自体を制限する措置の発表を余儀なくされた。

 今回の受賞について、ワシントン・ポスト紙で報道の中核を担ったバートン・ジェルマン記者は「賞の委員会の判断がわれわれを締め上げるようなものではなかったので本当にうれしい。何をすべきか、何をしてはいけないのか、非常に難しかった。(今回の受賞で)自分たちの判断はおおむね正しかったと思えるようになった」と喜んだ。

 ガーディアン紙では、記者のひとりが一時身柄拘束されたり、スノーデン容疑者と密接に連絡をとっていたとみられるグレン・グリーンウォルド記者が英国からブラジルに拠点を移すなど、英司法当局との緊張が高まった時期もあった。受賞チームのローラ・ポイトラス記者は「驚くべきニュースです。この受賞は、スノーデン(容疑者)の勇気と、政府の行いを大衆に知らせたいという彼の欲望が正当だったということを示す証しなのです」と説明した。

 スノーデン容疑者も滞在先のロシアからガーディアン紙に寄せた声明で、今回の受賞は「政府の中に国民が果たすべき役割があると信じるすべての人々に正当性を与えるものだ」とコメントした。

 「売国奴の違法行為」

 とはいえ、今回の受賞には、スパイ活動のような犯罪行為によって入手し、国家の安全保障を損ねる恐れがある情報をメディアが公開したことに対し、批判も根強い。ニューヨークの共和党議員、ピーター・キング氏は「スノーデンのような売国奴の違法行為にピュリツァー賞を与えるべきではない」と強く非難した。

 こうした批判に対し、ピュリツァー賞事務局のシグ・ギスラー事務局長は「個人情報と安全保障のバランスについて非常に重要な議論を喚起した。その議論はまだ続行中だ」と受賞理由を説明。社会が大切なことを考えるために必要なニュースを提供することこそ、ジャーナリズムの評価につながるとの見方を示した。(SANKEI EXPRESS

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