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【相川梨絵のバヌアツ通信】子供のワクチン接種 日本支援に感謝
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ワクチン接種を終えてホッと一息のチビっ子たち=2014年7月22日、バツアツ(相川梨絵さん提供) ここに居ると、度々、日本人であることを誇らしく思います。今回、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(以下JCV)のバヌアツ視察に同行し、またまたそんな気持ちにさせてもらいました。
JCVとは、京都で開催された「子供ワクチン世界会議」を受けて1994年に設立された団体で、寄せられた寄付金を、途上国にワクチン代などの資金として贈っています。バヌアツの子供たちもこの支援に助けられています。
2010年から5年という期限付きでJCVによるバヌアツ支援がスタートしました。主に、5種のワクチンが混合された五価ワクチン、ソーラーパネル式の保冷庫に充てられます。それ以前のバヌアツは細菌性髄膜炎(Hib)の発症率が太平洋諸国で一番高く、Hibワクチンの接種が急務でした。83の島からなり小さな村が点在しているバヌアツでは、一人一人にワクチンを届けるのも大変な作業です。そこで、五価ワクチンがHibにも有効であると、JCVの支援で導入が実現しました。最初の年は100%支援、その後、毎年割合を減らしていき、来年2015年には0%、つまりバヌアツ政府自身で運営していく予定です。
また、ワクチンは生もの。2~8℃での保管が必須です。しかし、バヌアツで電気が通っているのは、ほんの一部の都市だけ。各地の保健センターでは、ソーラーパネル式の保冷庫を設置し、ワクチンを管理しています。この保冷庫のほとんどがJCVの寄付です。さらに、多くの村では、看護師さんがクーラーボックスにワクチンを入れて、船に乗り、山を歩き、はるばるワクチンを届けにやってきます。
私もこの出張ワクチン接種に同行させてもらいました。この日の赤ちゃんは6人。たった6人の赤ちゃんのためにも、看護師さんはワクチンを届けます。このような場所がいくつもあります。毎年産まれる新生児は1万人前後。一人一人にワクチンを届けることは数的には簡単だけど、地理的な要因でとても困難なのです。バヌアツでJCV支援の窓口となっているユニセフ・バヌアツ代表のダイアン・アラキ氏に「今、何がバヌアツに一番必要か」と問うと、「アクセス」という言葉が出てきました。
これは地理的な問題だけではなく、流通経路のアクセスも意味します。現在、ソーラー式保冷庫が設置されているのは全保健センターの60%、いくらワクチンがあっても、それを管理する設備が各地に整っていなくては、意味がありません。バヌアツ側は、3年以内には100%にしたいと考え、ここにJCVの支援を追加でお願いしたいようです。
ダイアンは続けました。「2007年のリーマン・ショック以来、諸外国は資源の少ないバヌアツへの援助を大幅に減らした。そんな中でも、日本のJCVは援助してくれた。しかも、政治的意図は全くない、善意ある国民からのお金であるということが、とてもうれしく、感謝している。たとえ小さな寄付でも、私たちにとっては大きな助け。ワクチンを提供してくれることで、日本の皆さんはバヌアツの子供たちの命だけでなく、保健省全体を支えてくれている。本当にありがとう」。鼻の頭がくすぐったくなるような、うれしい言葉。
また、適切な回数や間隔でのワクチン接種率はわずか3割。ワクチンを受ける側、お母さんの意識改革も必要です。政府の予算も少なく、大変なチャレンジではありますが、やっていくしかありません。最後に、私からも、日本の皆さんワクチンをありがとう!!(バヌアツ親善大使、フリーアナウンサー 相川梨絵(りえ)/SANKEI EXPRESS)
ブログ「相川梨絵のシャララーン劇場」でもバヌアツ生活を公開中。(ameblo.jp/aikawa-rie/)