ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
トレンド
【中塚翠涛 ココロのかたち】夢花火 ひと夏の思い出が咲く
更新
「夢花火」。ひと夏の思い出が咲く(中塚翠涛さん提供) 皆さまこんにちは。1カ月ぶりの「ココロのかたち」です! 連日の暑さに体調を崩したりしていませんか? お子様がいらっしゃるお家では宿題のラストスパート中でしょうか…。
数年前、沖縄県の八重山諸島に夢中になり、何度も足を運びました。竹富島では水牛車に揺られ、波照間島ではプラネタリウムのような星空に感激しました。
お日様の光をいっぱいに浴びた色とりどりの花々、青い空と透き通る海、そしてゆったりと流れる時間は最高の贅沢(ぜいたく)です。しばらく足を運んでいなかったのですが、あの空気が吸いたくて、先日沖縄本島から高速船で約30分の渡嘉敷島を訪れました。友人ご夫婦に案内していただいたのですが、残念ながらあいにくのお天気。普段は湖のように波がなく、透き通るビーチに行くと…。台風の影響で、ハワイのノースショアーに来てるのかと錯覚するほどの高い波がたっていました。
帰りの機内で何げなく音楽チャンネルに合わせたら、井上陽水さんの「少年時代」が流れてきました。
いつ聴いても変わらずすてきな曲ですが、今まで感じられなかった感覚があふれてきました。すてきなメロディーに乗って聴こえる陽水さんの魅力的な歌声。
花火大会が終わった帰り道の気分とも似ています。出かける前は、どの浴衣を着て行こうかとわくわくしていたのに、打ち上げられた花火が夜空の闇に消えてしまうと、夏の終わりの匂いが感じられるものです。
皆さまそれぞれに、忘れられない夏の思い出があると思います。家族旅行、海水浴、プール、合宿、ひと夏の恋…。
私にとって、夏といえば、書道合宿です。小学校入学から中学卒業まで、毎年参加していました。100人から200人の子供たちが体育館にこもり、朝から晩まで書き続けるんですよ! みんな、大会でいい成績をとるために必死です。運動部みたいでしょう?
参加している子供たちの親御さんはとても熱心で、体育館まで付き添ってくるので、なかなかサボることができません。私の楽しみは、おやつタイム。そのために頑張ったなあ…(笑)。
当時は、母に「早く書きなさい」とせかされて、あーうるさい、うるさい、面倒くさいと思っていましたが、振り返ると、あの時の合宿が自分を作ったんだと思います。
あの経験は誰にも奪うことはできません。つらさを乗り越えたからこそ、今があります。子供ながらに自信がついたのだと思います。
この夏、ひとりひとりのココロに、思い出という花が咲いたことでしょう。
皆さまのひとつひとつの思い出を「夢花火」という作品で表現しました。来る秋を楽しい気持ちで迎えたいですね。
今月(8月)号の作品「夢花火」が歌詞に登場する井上陽水さんの名曲「少年時代」のフレーズをお手本に練習しましょう。
たて書きのポイントは、文字の中心をそろえることです。それぞれの文字がきれいに書けていても、中心がずれているとバラバラに見えてしまいます。
今回の練習は漢字が多いですね。漢字を書くときに気をつけるポイントは、「点」「よこ」「たて」「折れ」「はね」「払い」です。中でも、「払い」は半分以上の漢字ににあります。「花火」の「火」は、左右に払いがありますが、なめらかな曲線で、のびやかに書いてみましょう。
これまでのレッスンでアドバイスした通り、ひらがなは漢字に比べやや小さめに書くとバランスがよく見えます。お手本を見て、何度も繰り返して書いてみましょう。(書家 中塚翠涛(なかつか・すいとう)、写真も/SANKEI EXPRESS)