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日航 日の丸ジェットMRJ32機導入 「地方路線運営の主力機に」

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日航 日の丸ジェットMRJ32機導入 「地方路線運営の主力機に」

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会見を終え、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)の模型を前にフォトセッションに応じる日本航空の植木義晴社長(左)と三菱航空機の江川豪雄(ひでお)会長=2014年8月28日午後、東京都品川区東品川(大山実撮影)  日本航空は8月28日、三菱航空機(名古屋市)が開発を進めている国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)を32機発注すると発表した。2021年中をめどに子会社の国内線で導入を始める計画で、経営再建の流れで縮小を余儀なくされた地方路線の強化を図る。

 発注額は定価ベースで約1500億円。全日本空輸は08年に計25機を発注しており、日航も足並みをそろえたことで、国内航空大手2社がMRJの普及を後押しする姿勢が鮮明になる。

 日航はMRJを、大阪空港を拠点に地方路線を運航する全額出資子会社のジェイエア(大阪府池田市)の国内線で導入する。東京都内で記者会見した日航の植木義晴社長は「グループの地方路線運営の主力機として(MRJを)活用していく。世界に誇れる国産ジェット旅客機の誕生に貢献したい」と述べた。

 ≪国内大手2社バックアップ 海外販売に弾み≫

 日本の2大航空会社がMRJ導入を決めたことで、今後の受注拡大に弾みがつきそうだ。

 会見した三菱航空機の江川豪雄(ひでお)会長は「日本の航空機を、日本の一流エアラインから注文いただくことで、世界のエアラインからも優れた航空機とみてもらえる。この意味は非常に大きい」と率直に語った。

 MRJは、08年に三菱重工業が事業化を決め、子会社の三菱航空機が開発を進めてきた。08年に、第1号顧客の全日本空輸から25機を受注して話題を集めたが、安全性確保などの理由から3度にわたって初号機の納入時期を延期。実機がないことなどがネックとなり、その後の受注は伸び悩んできた。

 ただ、競合機より2割優れた燃費や室内の広さなどをアピール。7月の英ファンボロー航空ショーでは、ミャンマーの「エアマンダレー」から10機受注したほか、米イースタン航空からもオプション契約を含め40機と、計50機の受注を約1年半ぶりに決めた。

 今回、本命の一つだった日本航空から32機の受注を決めたことで、100人乗りクラス機の採算ラインとされる400機を超え、勢いづく。

 もっとも、事業が本格的な軌道に乗るには課題も多い。

 受注が400機を超えたとはいえ、購入を保留することができるオプション契約が半分近くを占める。顧客も国内2社のほかは、米国とミャンマーの航空会社4社にとどまる。

 さらに、競合するブラジルのエンブラエルが燃費を向上させた最新機「E2」シリーズの販売で攻勢をかけるほか、中国勢なども小型機市場に参入し、価格競争が激しくなっている。

 国内2大航空会社からの受注は追い風だが、MRJの目指す舞台はあくまで世界。ライバル企業が先行する欧州や、成長が見込まれるアジア市場で実績を積み上げていけるかが今後問われる。(那須慎一/SANKEI EXPRESS

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