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自宅に限りなく近い環境で愛犬ケア 御囲い家 二条別邸
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「スタンダード」ではたくさんのワンちゃんが宿泊中。清掃は行き届き、臭いなども全くしなかった=2014年8月12日、京都市中京区(恵守乾撮影)
「長期間、旅行に行きたいが、ペットの世話を放り出すわけにはいかない」と心を痛める人は多いはず。とはいえ、安心して預けられる施設をいざ、探してみてもなかなか見つからない…。そんな人たちのための施設が京都市の中心部に登場した。ワンちゃん専用のホテル「御囲い家 二条別邸」だ。自宅に限りなく近い環境で愛犬をケアしてくれるとあって、今年2月のオープン以来、愛犬家の間で話題となっている。
高瀬川と鴨川を望む絶好のロケーションに、町家風のレトロな建物が佇(たたず)む。一見すると京都によくあるおしゃれな土産物店かレストランといった感じだが、中に入ると1階はフロント兼ワンちゃん用グッズなどの販売コーナーで、2階が客室となったワンちゃん専用ホテルだった。
運営主体である「株式会社 御囲い家」(本社・京都市中京区、村田博司社長)の菊川勝成執行役員(54)によると「起業のアイデアが出たのは約2年前」という。「私も社長も犬を飼っており“一緒にあちこち旅行に行けたら楽しいだろうな”とよく話をしており、そんな会話の中からこのビジネスが生まれました」(菊川執行役員)。
2人は京都市出身でもあり、始めるなら「観光都市・京都で」ということになり、まず昨年9月に運営会社を設立。立地場所など綿密なリサーチを経て今年2月、オープンにこぎ着けた。菊川執行役員は「これまで、ペットの宿泊施設といえばペットサロンや動物病院に併設したものが多く、宿泊に特化した専用施設は京都でここだけではないでしょうか」と語る。
その言葉通り、宿泊に特化しているだけあってサービスは綿密。「自宅と限りなく同じ環境でお過ごしいただく」(菊川執行役員)ことが最大のウリとあって、そのため、顧客から犬を預かる前に宿泊カルテを書いてもらう。
カルテには当該犬の性格や特徴をはじめ、ごはんを与える時間や量、散歩の時間や回数などをできる限り詳細に描き込む。これを基にスタッフが自宅と限りなく同じ環境下でのケアに努める。
ストレス解消のため、宿泊しているすべての犬に1階のプレイルーム(広さ約8畳)で約1~2時間、自由に遊ばせるほか、散歩も1日2回、鴨川沿いなどを各15分ずつ行うのが日課で、1日2回、スマートフォン(高機能携帯電話)の無料通信アプリ、LINEを使って「今日も2人ともご飯はペロリと完食? ではまたお昼にご報告させていただきます」といった状況報告を写真とともに飼い主にメールする。
「LINEでの状況報告で飼い主のみなさんはかなり安心されるようで、大好評です」と有岡千佳副店長(23)。
そして2階の客室は全15室、どれもケージ(檻)ではなく、造りつけで独立しており、清潔で高級感が漂う。清掃もこまめに行っており、臭いも全くしなかった。
「スタンダード」(10室、広さ約1畳)、2部屋でひとつの「デラックス」(広さ約1畳)、「スイート」(3室、広さ約2畳)の3タイプあるが、いずれも小型犬には十分な広さ。スイートとデラックスには高級寝具メーカー、シモンズ製のワンちゃん用ベッドが。さらにスイートではアロママッサージや肉球マッサージ、ブラッシング、爪切りなどのサービスもある。
主要顧客層は30~40代の女性で、ゴールデンウイークや夏休みはほぼ満室に。さらに最近は週1回利用するリピーターや遠方からの問い合わせも増加。京都観光で存在を知った人々による口コミで人気が高まっているという。10月からは宿泊に加え、1歳未満の子犬にしつけなどを教える「犬の保育園」サービスも展開するという。京都の新たな名物になるかもしれない。(文:岡田敏一/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)