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社会
【デング熱】感染拡大 蚊からウイルス 代々木公園「封鎖」
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蚊からデングウイルスが検出されたのを受け、大半が閉鎖され、閑散とする代々木公園。公園に隣接する写真右端には感染者が確認されたNHK放送センターの建物も見える=2014年9月4日午後、東京都渋谷区(共同通信社ヘリから撮影) デング熱の国内感染が相次いで確認された問題で、東京都は4日、渋谷区の都立代々木公園で採集した蚊からデングウイルスを検出したと発表した。ウイルスを持つ蚊が見つかったのは初めて。
都は感染拡大を防ぐため、この日午後、代々木公園をサッカー場などの一部を除いて閉鎖した。閉鎖は1967年の開園以来初。園内に設けた調査地点10カ所のうち4カ所で蚊からウイルスが検出された。厚生労働省などによると、デング熱の国内感染は12都道府県の計59人となった。重症化した患者はいない。いずれも代々木公園かその周辺を訪れていた。
都によると、閉鎖したのは54万平方メートルのうち、中央広場やサイクリングコースのある北側の44万6000平方メートル。当面立ち入り禁止とし、再開時期は未定とした。国立感染症研究所の専門家らが4日、公園を訪れ、蚊の生息状況などを調べた。5日以降、生態系への影響を考慮しながら蚊を駆除する。
都は捕獲した蚊のうち、ウイルスを媒介する可能性がある種類の蚊276匹を遺伝子検査した。調査地点別に、最大30匹をまとめて調べる方法を採用。その結果、4カ所で5回、ウイルスが検出された。都は少なくとも5匹がウイルスを保有していたとみている。
今後も蚊の採集器を園内に設置してウイルスの保有状況を調べる。調査地点は20カ所に倍増する。2日に蚊の採集器を設置、3日に回収していた。8月26日夕から27日朝にも35匹を捕まえたが、ウイルスを保有した蚊はいなかった。
「園内の蚊からデングウイルスが検出されました。移動をお願いします」
代々木公園では、4日午後2時すぎから閉鎖を告げる放送が流れ、職員が門に「園内立入禁止」の張り紙をくくりつけた。「仕方ない」と公園を出ていく利用者。近くの保育園では外遊びを見合わせるなど、影響は広がった。
代々木公園では、この日も多くの人が訪れていたが、放送や職員の誘導に従い、次々に園外に出ていった。
散歩中だった神奈川県寒川町の派遣社員、丸山紘司さん(26)は「休みが取れたから、のんびりしたかったのに。残念です」と落胆した様子。ジョギングで訪れた東京都世田谷区の男性会社員(38)は、入ろうとした際に立ち入り禁止を告げられ「公園は必ず入らなければならない場所でもない。仕方ない」。
都と国立感染症研究所は閉鎖後、蚊の生息場所を特定する調査を始めた。長靴や手袋を身に着けた約10人の職員が、やぶや木の根元で網を振り、蚊を捕獲していた。近くにある「聖ヨゼフ保育園」の園児は、蚊に刺されないよう長袖、長ズボン姿。登園時に虫よけスプレーを使い、1日から散歩や外遊びも中止するなど、対策を徹底している。山野弥生園長は「本当は外で遊びたいだろう。来週まで続くと、ストレスがたまるかもしれない」と心配している。
≪広範囲に生息 「駆除不十分」と専門家≫
東京・代々木公園で採集した蚊からデング熱のウイルスが見つかった。公園の西部と南部を中心に南北約900メートル、東西約400メートルと広範囲にわたり、ウイルスを保有する蚊の割合も十数~数十匹に少なくとも1匹と高い。専門家からは蚊の駆除が不十分との声が上がった。
東京都は都内で最初の感染者を確認した8月28日、感染者が蚊に刺されたと述べた代々木公園南側の渋谷門付近にある広場で、半径75メートルの範囲で殺虫剤をまいた。蚊の活動範囲は50~100メートルとされているとの理由からだ。
この散布について、国立感染症研究所の高崎智彦室長は「消毒が中途半端だ」と指摘する。「逃げた蚊がいるかもしれない。一度きりの消毒では不十分で、何度も広い範囲での駆除が必要だ」と述べる。
デング熱に詳しい国立感染症研究所の小林睦生・名誉所員も「75メートルという範囲には根拠がない」と話す。公園の広い範囲にウイルスを持った蚊が広がっているとみられ、徹底的な消毒と幼虫対策を実施すべきだとした。
一方、ウイルスを保有する蚊が産んだ卵から生まれた蚊が人に感染させたとの報告はなく、ウイルスは次世代に伝わらないとされる。蚊の寿命は30~40日で、成虫がいなくなれば感染は終息するとみられる。
しかし、海外で感染し国内で発症する患者が年間200人程度に上る状況では、代々木公園での感染に限らず、来年以降も国内感染が発生する恐れがある。小林氏は「全国の公園や神社仏閣で、蚊の密度を下げる対策を継続的に実施することが重要だ」と警告している。
≪NHKの女性2人も感染≫
NHKは4日、東京都渋谷区のNHK放送センターに勤務する女性職員1人と女性スタッフ1人がデング熱に感染したと発表した。NHK放送センターは代々木公園に隣接しており、2人とも代々木公園を訪れたと話しているという。
NHKによると、2日にそれぞれの職場に報告があった。女性スタッフは海外の旅行先から「病院で感染が確認された」と報告してきたといい、因果関係ははっきりしていない。また、厚生労働省が把握している国内の感染患者数にこの2人が含まれているかどうかも不明という。NHKは3日夜、放送センター内で蚊の発生の恐れがある側溝などの消毒を実施した。(SANKEI EXPRESS)