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デング熱 感染拡大1都5県22人に

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デング熱 感染拡大1都5県22人に

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デング熱の対策で蚊の発生を防ぐために行われた噴水池の水抜き作業=2014年9月1日午後、東京都渋谷区・代々木公園(共同)  東京と埼玉でこれまでに3人の国内感染者が出ているデング熱で、厚生労働省は9月1日、新たに新潟や千葉などの計19人がデング熱に感染したと発表した。重い症状の人はいないという。いずれも海外渡航歴はなく、東京の代々木公園とその周辺を訪れていた。厚労省は、いずれも代々木公園で蚊に刺され感染した疑いが強いとみている。国内での感染者は計22人となった。

 厚労省によると、新たに感染が確認されたのは、東京都13人▽千葉県1人▽埼玉県1人▽新潟県1人▽神奈川県2人▽茨城県1人-の男女計19人。年齢は小学生から50代までで、前日に感染の疑いがあると発表された新潟県の1人と神奈川県の2人も含まれる。いずれも8月に代々木公園やその周辺を訪れていた。

 検査を行った国立感染症研究所(感染研)によると、22人は全員、アジアで流行する同じ型に感染。感染研の西條政幸部長は「現状では感染地域は限定的で、10月末には蚊の活動は止まる」と話し、感染が広範囲に広がり持続する可能性を否定した。厚労省は蚊に刺された後に高熱が続いた場合は医療機関で受診するよう呼びかけている。

 デング熱は高熱や関節痛、発疹などが出る感染症で、人から人へは感染しない。感染者の血を吸った蚊が体内でウイルスを増殖し、別の人の血を吸って感染させる。感染しても発症するのは半数程度といわれ、通常は1週間程度で回復する。まれに出血や血小板減少により重症化することもある。

 一方、TBSは(9月)1日、毎週土曜日に放送している情報番組「王様のブランチ」でリポーターを務めるタレントの青木英李(えり)さん(25)と紗綾(さあや)さん(20)がデング熱に感染した疑いがあると明らかにした。2人は治療を続けているという。TBSによると、2人は8月21日午後、代々木公園で行われたロケの際に蚊に刺されたらしい。厚労省が1日に発表した22人の感染者のリスト(匿名)には、2人は含まれていないとみられる。

 ≪いずれも代々木公園訪問…ウイルス持つ蚊は数カ所に生息か≫

 デング熱の国内感染者22人は、いずれも東京・代々木公園周辺を訪れていた。代々木公園は原宿などの観光スポットに近く、屋外イベントも多いことから年間500万人以上が利用。夏休み中で、海外からの旅行客や家族連れなどが増えたことが感染拡大を招いたとみられる。蚊の好む水辺や低木が多く、「防虫対策が不十分」との指摘もある。

 夏休みで旅行客増

 厚生労働省によると、22人から検出されたデングウイルスはいずれも「1型」と呼ばれる種類で、東南アジアなどに多いタイプ。「日本人か外国人か不明だが、海外で感染した人が公園を訪れた際、複数の蚊に刺され、その蚊が他の人を刺すことで感染が広がった可能性がある」という。

 感染者には近所に住む人のほか学園祭に向けダンスの練習をしていた若者、小学生の男児らがおり、「夏休みで人出が増えたことで感染しやすい状況になった」(東京都)という。

 また、園内には噴水や低木が多く、「涼しい木陰など蚊が好むような場所が多い」(厚労省)。8月27、28日に感染が判明した東京と埼玉の男女3人のグループは、公園南側の「渋谷門」付近で蚊に刺された可能性が高く、都は(8月)28日、周辺を封鎖して殺虫剤を噴霧したが、新たに判明した19人の中に「渋谷門付近には近寄っていない人もいる」(厚労省)。公園の沿道などで蚊に刺された人もおり、ウイルスを保有する蚊は「数カ所に生息している可能性がある」という。

 清掃などで発生抑制

 都は「公園にはカブトムシやテントウムシもいる上、蚊の生息場所が特定できない」とし、今後は蚊の駆除や封鎖はしない方針。都では長袖、長ズボンの着用、素足でのサンダル履きを避けることや、虫除けの利用を呼びかける看板計90個を園内に設置。蚊の発生を抑えるため、ボウフラが生じる恐れのある噴水池の水抜きや、側溝の水が流れ込む集水枡計275個の清掃を進めるという。

 国立感染症研究所の高崎智彦室長は「患者の数から公園にはウイルスを持った蚊が数匹から数十匹いたとみられる。これまでの防虫対策は不十分で、広範囲に何度も消毒しないと、今後の感染者が出る恐れがある」と指摘。また、園内にはホームレスの人たち約30人が生活しており、都は「こうした人が蚊に刺されて感染すれば、さらにウイルスを増殖させかねない」とし、今後、何らかの対策を検討するとしている。(SANKEI EXPRESS

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