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科学
火星宇宙船、不安載せ発射台へ NASA「オリオン」、12月4日に初試験飛行
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米フロリダ州のケネディ宇宙センター 米航空宇宙局(NASA)は11日、火星や小惑星に人類を送り込む次世代有人宇宙船「オリオン」の試作機をケネディ宇宙センター(米フロリダ州)でメディアに公開した。12月4日にセンターからロケットで打ち上げられ、無人での初の試験飛行を行う。2030年代半ばの実現を目指す火星への有人飛行がいよいよ本格化するが、その前途は多難だ。今年6月には安全に火星に着陸するための装置の実験に失敗。オリオンを載せる新型ロケットの開発も財政難から遅れている。オリオンは米国の威信と期待に加えて、多くの不安も載せて発射台に向かうことになる。
11日午前8時過ぎ。保護シートに覆われたカプセル型のオリオンは、電力などを供給する円筒形のサービスモジュールの上部に設置された状態で組立格納棟から台車で運ばれ、その姿をみせた。
「オリオンは組み立て作業を終えた。われわれにとって、まさに歴史的な瞬間だ」
NASAのオリオン開発計画の責任者、スコット・ウィルソン氏はこう語り胸を張った。
オリオンはゆっくりと燃料補給所まで移動。今後、打ち上げトラブル時にロケットから安全に切り離す脱出装置を上部に取り付けると準備が完了する。
10年に退役したスペースシャトルの後継機として開発中のオリオンは3年をかけ試作機の組み立てが完了した。飛行機型のスペースシャトルとは違い、月面着陸を成し遂げたアポロ宇宙船と同じ円錐形(えんすいけい)のカプセル型だ。直径約5メートルで定員は4人。打ち上げ後に羽のような4枚の太陽光パネルを広げる。
ウィルソン氏は「アポロに似ているが、最先端の技術を集めた全く新しい宇宙船だ。スペースシャトルより高速で飛行できる」と強調した。
試験飛行では、デルタ4ロケットで国際宇宙ステーション(ISS)がある高度の約15倍の5800キロまで打ち上げ、地球を2周した後、秒速9キロで大気圏に突入し帰還する計画だ。約2200度にも達する突入時の高熱から飛行士を守る耐熱材の性能などを試す。
ただ、有人火星飛行計画はこのところトラブル続きだ。6月には、オリオンを減速させ火星に安全に着陸させるための空飛ぶ円盤型装置の実験を行ったが、パラシュートが正常に開かず海に落下してしまった。
8月末には、オリオンを打ち上げるために開発中の大型ロケット「SLS」の試験飛行を当初予定より1年遅い18年11月に延期することが決まった。試験飛行までに見込む開発費約70億ドル(約7500億円)の予算配分が滞っているためだ。
オリオンが公開されたのと同じ11日には、12年に火星に着陸し生命の痕跡を探して活動中の無人探査車「キュリオシティー」が目的地である「シャープ山」の麓に到着した。今後、数千メートルの山頂に向け出発するが、粒の大きい火星の土の影響で想定以上に車輪が摩耗し、6つの車輪のうち4つがパンク状態にあるという。
ケネディ宇宙センターのトップ、ロバート・カバナ氏は、オリオンの試験飛行について「太陽系の探査でわれわれの存在感を示す未来へのステップだ」と期待を示すが、火星では未知なる困難が待ち受けている。(SANKEI EXPRESS)