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【鋤田正義 meets 黒木渚】新しい相棒と新しい「私」が始まる

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【鋤田正義 meets 黒木渚】新しい相棒と新しい「私」が始まる

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九州出身の音楽アーティスト、黒木渚さん(鋤田正義さん撮影)  今月送られてきた鋤田さんの写真には、ギターを抱えた私が写っていた。そういえば、鋤田さんと初めてフォトセッションをさせていただいた時も、ギターと一緒に撮ってもらったことを思い出した。どちらも被写体は赤いギターと私だが、当時の写真と今回の写真で実は違う所がある。抱いているギターが変わっているのだ。

 ガタが最初のギター

 私たちが出会った頃、私はItaliaという会社のRimini-6というギターを愛用していた。これは学生時代バンドを始める前に私が楽器屋で一目ぼれしたギターで、赤のメタリックボディーに自分で装飾を加え、とても派手な見た目だった。楽器屋の店員さんに取り置きを頼み込んで、その間アルバイトをして買ったのだ。そんなに高価なギターではなかったけれど、楽器屋のカウンターに迎えに行った時の喜びは忘れられない。初めて買った自分のエレキギター。音楽を始めてからずっと一緒にライブハウスを回った。とても気に入っていたけれど、長年弾いているうちにいろんなところにガタがきて、いよいよ寿命かと残念に思っていた。

 そんな矢先、私はソロ活動を決意してバンドを解散。その時、新たな私への景気付けと追い込みの2つの意味でギターも新調した。もう後戻りはしない、今後の自分へ投資のつもりでヴィンテージギター屋に足を踏み入れた。あらかじめ数本目星を付けて訪れたのだが、目当てのギターを試奏させてもらう時にふと、一本のギターに目が留まった。真っ赤なFender coronado2。鮮やかな色から目が離せなくなり、私はそのギターも一緒に試奏させてもらうことにした。

 以前のギターと同様、ボディーが空洞のタイプなのでとても軽い。ライブ中に結構動き回るので、私にとって軽さは重要な要素だ。壁に掛かっている時には随分大きく感じたが、抱えてみると体になじんだ。私自身170センチあるので、このくらいがちょうど良いと感じた。そして音色は暖かい。即決だった。

 少しずつ進み続ける

 新しい私を、このギターと一緒に始めよう。ボロボロになるまで頑張ってくれた先代ギターの分も、これからはこのギターとともに歩んでいこう。

 鋤田さんが撮ってくれた最初の写真と最新の写真。どちらの私も赤いギター。だけど、少しずつ変わっていかなければと思う。抱いたギターが変わっているように。私自身もあの頃と同じでは駄目なのだ。日々の生活から学ぶことは山ほどある。目に見えた大きな変化はなくとも、内面は進み続けていかなければ。そんな私を、これからも相棒のギターは見守っていくのだなと思った。

 部屋で一人練習する時も、うんと悩んで新曲を産み出す瞬間も、ステージに立ち最高の気分を味わう時も、ずっとそばで私を見ている。もしかしたら、黒木渚を一番良く知っているのはこのギターなのかもしれないな、と鋤田さんの写真を見ながらそんなことを考えた。(文:九州出身の音楽アーティスト 黒木渚/撮影:フォトグラファー 鋤田正義/SANKEI EXPRESS

 ■すきた・まさよし 1938年、福岡県生まれ。広告、音楽、映画などの仕事で今日に至る。近作は、忌野清志郎写真集『SOUL』(2012年)、デヴィッド・ボウイ写真集『BOWIE×SUKITA Speed of Life』(2012年)、THE SHOOT MUST GO ON 写真家鋤田正義自らを語る』(2013年)など。http://sukita.jp/

 ■くろき・なぎさ 九州出身の音楽アーティスト。「SUMMER SONIC 2013」「COUNTDOWN JAPAN 13/14」などの大型フェスにも出演。8月20日にライブDVD『「革命がえし」ツアーファイナル 渋谷公会堂 2014』を通販限定でリリースした。www.kurokinagisa.jp

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