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経済
大型上場続々 株式市場に活力 すかいらーくの次はリクルート、LINEも
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すかいらーくの谷真(たに・まこと)社長が社員らとともに上場記念撮影した=2014年10月9日、東京都中央区の東京証券取引所(飯田耕司撮影)
外食大手のすかいらーくが9日、東京証券取引所に上場した。16日には求人情報サイトなどを運営するリクルートホールディングスも上場予定で、大規模な新規株式公開(IPO)が続く。今年のIPO件数は7年ぶりの高水準になる見通しで、大型案件や再上場が目立つ。来年以降もスマートフォン向け無料通話アプリを手がけるLINE(ライン)などの上場が見込まれ、株式市場の活性化につながると期待されている。
すかいらーくは2006年にMBO(経営陣による自社買収)で非上場化して以来、8年ぶりの再上場。初値は公募・売り出しに適用する公開価格と同じ1200円だった。これに基づく時価総額は約2300億円で、外食では2位だ。
また、リクルートの公開価格は3100円。これに基づく時価総額は約1兆7800億円で、今年最大のIPOとなる。
両社ともに規模が大きく、知名度も高い。こうした企業の上場が市場に与える影響について、野村証券の吉原寛・公開引受部長は、「新しい顧客が(株式投資に)入ってくる契機になる」と指摘する。特に、上場直後の株価が堅調なら個人投資家が、新規上場株の売却による利益で他の銘柄を買うなど「資金の循環が起きる」という。
来年にはLINEもIPOに踏み切る可能性がある。LINEは9日、世界の登録者数が5億6000万人を超えたと発表、事業拡大を加速している。LINEは若い世代になじみが深く、新規投資を呼び込む効果も高いとみられる。
もっとも、「IPO株の値動きを左右するのは成長への期待」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)だ。上場時、すでに規模の大きな企業はその後、飛躍的に成長するという展望を描きにくい。
3月に上場したジャパンディスプレイの株価は低迷。すかいらーくも9日の終値は初値から4.8%下落した。今後の大型上場も、各社が投資家の納得できる成長シナリオを示せるかが重要になる。(高橋寛次、飯田耕司/SANKEI EXPRESS)
≪「3年で210店を新規出店」 すかいらーく谷社長≫
「8年で、ようやくここまで成長できた」。上場記念セレモニーの会場でファミリーレストラン「ガスト」などを3000店舗運営するすかいらーくの谷真(たに・まこと)社長はこう振り返った。
すかいらーくは、2000年から06年までの6年間、1700店舗を出店するなど、「新規出店で売上高を伸ばし続けるビジネスモデルを推し進めてきた」(谷社長)。だが、低価格志向の広がりで牛丼チェーンなどに押されたうえ、ガソリン高で客足が減り、赤字店舗が続出する事態に見舞われた。
06年に株式を非上場化して、長期視点で経営を立て直すことを決意。運営する中華レストラン「バーミヤン」、和食レストラン「夢庵」などの不採算店舗を閉鎖し、既存店を成長させる方向にシフトした。
今回、上場で得た約50億円の調達資金は、店舗改装に加え、新規出店にも振り向ける。これまでの、メニュー改定などの店舗改革、人事改革で体質改善が図れたとして、今後は「手薄な都市部を中心に3年で210店舗を新規出店する」(谷社長)など、攻めの経営に転じるという。
ただ、人手不足に伴う人件費の高騰や円安による輸入原材料価格の上昇など、外食を取り巻く環境は厳しい。来年10月には消費税率の再引き上げも予定されており、「ファミレスの雄」が市場で再び輝けるか、経営手腕が改めて問われる。(SANKEI EXPRESS)