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政治
自民の女性政策 矛盾か現実か
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安倍晋三首相(60)は「女性が活躍しやすい社会」の実現を最重要課題に掲げている。だが、これには女性の社会進出の促進という意味合いも込められているため、家庭における主婦の役割を伝統的に重んじる自民党内には、専業主婦にも光を当てるべきだとの声は強い。もっとも、女性の社会進出が時代の要請なのも事実。自民党は今、保守政党として矛盾を感じつつも、現実とどう折り合いをつけるかに苦悩している。
8日に党本部で行われた女性活躍推進本部などの合同会議。政府の女性政策に注文が相次いだ。政府は女性が指導的地位を占める割合について、2020年までに3割に引き上げる目標を掲げている。この日示された政府の「すべての女性が輝く政策パッケージ」には「再就職支援」「正社員転換を促進」「事業機会拡大」などの文言が並んでいた。
「家庭の主婦も輝き、それだけの労働をしているという価値は認めてもらいたい」「女性をキャリアウーマンにしていこうという臭いしか感じない」…。
男性議員からはこんな意見が出され、時折「そうだ」の合いの手。女性議員からも政策パッケージの前文に「仕事で活躍する女性、家庭で頑張っている女性、地域を支える女性。女性にはさまざまな場で重要な役割を担っている」と書かれていることに対し、「最初に『仕事で活躍する女性』と書いていることは誤解を生む」との発言があった。
専業主婦の役割を正当に評価すべきなのは自明のことであり、特に自民党支持者が多い地方には、そう考える人たちが決して少なくない。折しも来年4月は統一地方選。合同会議に出席した議員の中には選挙を意識して発言した者もいたとみられ、事実、出席者の一人は最近、地方議員にこういわれたという。
「女性の社会進出なんて声高に言われたら、若い人はどんどん東京に出ていってしまうじゃないか…」
それでも安倍首相が女性の社会進出を積極的に推し進めようとするのは、少子高齢化による労働力不足を補うためにも、有能な女性を活用しない手はなく、ひいてはそれが経済成長の原動力になると考えているからにほかならない。女性の活躍はアベノミクスを成功させるための重要な要素というわけだ。
もっとも、理由はこれだけではなさそうだ。首相に近いある議員はこう語る。
「これは浮動票対策、衆院選でいえば都心を抱える1区対策なんですよ」
首相は「地方創生」をもう一つの最重要課題に掲げているが、「地方創生」と「女性活躍」を二本柱に据えることで、自民党支持層を固め、浮動票も同時に取り込むことを狙っている可能性は高い。
ただ、浮動票を獲得するために、自民党支持層を取りこぼしては本末転倒。政府税制調査会は6日、小委員会を開き主婦がいる世帯の所得税負担を軽くする「配偶者控除」の見直しについて議論を本格化させたが、党内からは「統一選が終わるまで見直しなんて絶対できない」(幹部)との声も上がる。
ともあれ、現実を直視した場合、「職場で活躍したい」と希望する女性が、いかに出産と育児を両立させるかは、今や日本社会の課題だ。そんな中、冒頭に紹介した合同会議での、丸川珠代参院厚生労働委員長(43)の発言は印象的だった。
「産むこと、育てることが職場で男女ともにプラスに評価されるところまでもっていかないと、職場で活躍しながら、子供を産んで育てようということにはなっていかない。そこまで踏み込まないと『やっぱり女が外に出たら子供が増えないじゃないか』といわれてしまうんです」(坂井広志/SANKEI EXPRESS)