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金沢の奥座敷・能登半島に足延ばして 北陸新幹線開業まで5カ月 石川県「回遊作戦」
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来年3月14日の北陸新幹線の開業まで5カ月を切った。東京から約2時間半で結ばれる金沢は、兼六園や近江町市場、茶屋街などの見どころ満載で、「加賀百万石」の城下町らしい風情を残す北陸を代表する観光地だ。しかし、ちょっと足を延ばすと地酒、温泉、新鮮な魚など金沢とは別の魅力にあふれた“奥座敷”能登半島が控える。石川県は北陸新幹線で金沢へやってきた観光客を能登半島へと回遊させる取り組みを始めた。
東京から金沢へは従来、越後湯沢を経由して上越新幹線と北陸本線の特急を乗り継いで行く方法が一般的で、3時間50分もかかっていたが、北陸新幹線の開業で所要時間は2時間半に大幅に短縮される。ターミナルとなるJR金沢駅では今月11日、開業までの日数をカウントダウンする大型ボードがお目見えするなど盛り上がっている。
4日からは、金沢から能登への回遊策の切り札となる定期観光バス「ぶらりのっぴー号」も運行を開始した。金沢駅を朝出発し、能登の観光地を巡りながら「能登空港(愛称・のと里山空港)」(輪島市)に寄り、最後は和倉温泉(七尾市)へと向かう。
先月、この定期観光バスのコースの一部を体験した。金沢を出発して最初に立ち寄るのが、コースのハイライトともいえる「千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ」(宝達志水町=ほうだつしみずちょう、羽咋(はくい)市)。日本で唯一の波打ち際に設けられた8キロの道路で、バスやバイク、自転車も自由に走ることができる。踏み固められた砂は歩きやすく、海風を受けながらの散策はとても気持ちがいい。
この道が誕生したのは、工事車両のダンプカーが砂浜に入っていくのを見て、回送のバスを試しに走らせたところ、砂にタイヤを取られることなく走れたのがきっかけだった。ただ、海岸線は波によって1年に約1メートルも浸食され、数十年後には海岸が消滅してしまう可能性もあるという。
次に訪れた気多(けた)大社(羽咋市)は、多くの「気」が集まる能登一の宮。数々の試練を乗り越えて恋を成就させた大国主命(おおくにぬしのみこと)が祭られ、縁結びの神社として女性に絶大な人気を誇る。神殿の背後には、1万坪の原生林「入らずの森」が広がり、一歩足を踏み入れると空気が一変するのが感じられる。
七尾湾で水揚げされた新鮮な魚介などがそろう「七尾フィッシャーマンズワーフ 能登食祭市場」では魚介の浜焼きに舌鼓。のと鉄道の能登中島駅(七尾市)で、旧郵政省が東京-北海道間の鉄道郵便車として使用していた車両を見学した後、終点の穴水駅(穴水町)まで、電車に乗った。
能登半島には今回のコース以外にも、1000年前の物々交換から始まり現在では200軒以上の露天が立ち並ぶ輪島朝市や、海を望む斜面に1000枚以上の小さな田んぼが幾何学模様を織りなす白米千枚田(しろよねせんまいだ、輪島市)など見どころはたくさんある。
能登への観光客の回遊には、能登空港の利用促進という狙いもある。現在年間15万人の利用があるが、北陸新幹線の開業によって県は利用者が、2割、約3万人減ると試算している。
2003年に開港した能登空港は、4年目の06年以降、東日本大震災の起きた11年を除き、離発着便の搭乗率が目標の62%を達成するなど、地方空港としては優等生。今年も目標達成の見通しだが、北陸新幹線の開業によって来年以降、利用者が減ることは避けられない。そこで、北陸新幹線でやって来た観光客を能登へ回遊させ、復路は能登空港を利用してもらうコースを編み出した。
石川県空港企画課の小松達也さん(33)は「観光客を奪い合うのではなく新幹線と共存する道を探りたい。できれば往復のどちらかは能登空港を利用していただければ」と話す。北陸新幹線の開業によってぐっと身近になる石川県。金沢の先の能登へ足を延ばしてみてはいかがだろうか。(田中幸美、写真も/SANKEI EXPRESS)
「ぶらりのっぴー号」はバスガイドが案内する定期観光バス。12月23日までの毎週土日月および祝日に運行。午前9時に金沢駅東口を出発、羽咋市の千里浜なぎさドライブウェイを通行し、気多大社に参拝、七尾市能登食祭市場で昼食を取り、午後はのと鉄道能登中島駅で鉄道郵便車を見学。その後、のと鉄道に乗って穴水駅まで移動し、午後4時ごろに能登空港に到着。その後、和倉温泉(七尾市)まで。中学生以上3800円、小学生1900円(未就学児は座席を使わなければ無料)。問い合わせと予約は北陸鉄道予約センター((電)076・234・0123)まで。