SankeiBiz for mobile

【米中間選挙】色あせた「変革」 オバマ落日 共和党、上下両院で過半数獲得

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

【米中間選挙】色あせた「変革」 オバマ落日 共和党、上下両院で過半数獲得

更新

【米中間選挙】米上院、州知事選=2014年10月5日午後5時半現在(日本時間)  オバマ米政権の今後2年間の行方を決める中間選挙は4日(日本時間5日)開票され、与党民主党が上下両院で大幅に議席を減らす歴史的大敗を喫した。米メディアによると、野党共和党は焦点の上院(定数100)で現有45議席を大きく上回る52議席を確実にし、ブッシュ共和党政権が大敗した2006年中間選挙以来8年ぶりに過半数を奪回。下院は共和党が第二次大戦後、最大勢力となった1946年選挙の246議席に迫る勢い。共和党は上下両院で多数派となり、バラク・オバマ米大統領(53)に厳しい審判が下った。

 民主党への逆風が続いた最大の理由は、「チェンジ(変革)」の約束を破ったとしてオバマ大統領の人気が色あせたことだ。共和党の陣営は、アラスカ、コロラド、アイオワ、カンザス、ニューハンプシャー、ノースカロライナ、ルイジアナ、ジョージアの「接戦8州」を中心に、民主党候補と支持率が40%前半に低迷するオバマ氏の「近さ」を有権者に印象づける戦術を取った。巨額の資金を投じて、オバマ氏と相手候補を批判するCMを放映。最終盤では、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」やエボラ出血熱への対応の遅れを攻撃した。

 この結果、共和党は「接戦8州」のうち5選挙区で勝利し、民主党が獲得したのはニューハンプシャーだけ。開票中のアラスカ、12月6日の決選投票に持ち越されたルイジアナも優位とみられ、圧勝となった。

 決められぬ政治「No」

 「チェンジ」を掲げ、国民の希望と期待を背に就任したオバマ氏の約6年間は、「決められない政治」への転落の軌跡であった。最大の要因は、オバマ氏の指導力の欠如であり、米国社会の分裂という基本構造を背景にした二大政党による対立の先鋭化だ。オバマ氏は国民の「内向き」志向と歩調を合わせ、外交・安保政策の“足かせ”ともなってきた。

 そうした指導力の欠如と「決められない政治」に、米国民は中間選挙で「ノー」を突きつけたといえる。

 米議会の上院は大統領が指名する政府高官や大使の人事承認や条約批准の権限を持つ。政権にとってその過半数を失った打撃は大きい。オバマ氏の残り任期の約2年間は、「決められない政治」と政権のレームダック(死に体)化に、拍車がかかることは間違いない。

 ただ、負の側面ばかりではない。共和党の外交・安保政策などが反映されれば、「強い米国」という方向性を後押しすることもあり得る。

 アジア重視戦略漂流も

 危惧されるのは、国内の膠着(こうちゃく)状況が、対外的にも“停滞”をもたらすことだ。不確実性を増すアジアや中東をはじめとする国際情勢は、力の「空白」を許容しうる状況にはない。オバマ政権のアジア重視戦略が漂流し、対日政策や北朝鮮核問題、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉に影響が及ぶ可能性もある。日米同盟を外交の基軸に置く日本には、米国の変化を見極め、日米関係を強化する道筋を探る努力が求められる。(SANKEI EXPRESS

ランキング