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竹島「譲歩」も孤立 韓国外交の迷走

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権の外交が迷走している。竹島(島根県隠岐の島町)での施設建設を見送ると、世論から非難を浴びる一方、2米国人解放をめぐる米朝接触や日中首脳会談の流れに外交的「孤立」を危惧する声も上がる。かといって対中依存にも警戒感が強く、日本に要求一辺倒だった朴槿恵外交が守勢を強いられつつあるようだ。

 日本に「一本」取られる

 韓国政府は、竹島で計画していた災害時の避難施設の建設中止を決定した。韓国紙は、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相(61)が閣僚会議で「日本との外交摩擦を避けるべきだ」と発言したためだと報じた。菅義偉(すが・よしひで)官房長官(65)は「わが国が冷静に紛争を解決する考えを伝えてきたので、韓国側が判断したのではないか」と一定の評価を示した。

 これに対し、韓国紙は社説で一斉に反発した。保守系大手の朝鮮日報(電子版、11月6日)が「中止が韓日首脳会談に向けた措置なら日本に誤った認識を与える不適切な対応だ」と論じると、中央日報(11月8日)は「日本政府が自国の要求が通ったようにコメントし、恥をさらした」と批判した。

 2012年に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領(72)が竹島に上陸したことが日韓関係悪化を招いたことを考えると、建設中止は「適切」な対応といえる。各社説も中止を非難しているのではなく、省庁間の根回しや公式発表がなかった上に日本側の成果のように“一本”取られたことに腹を立てたのだ。

 感情より国益追求が本質

 世論の反発に韓国外務省は「日本への配慮」との見方を否定。朴政権は相変わらず、慰安婦問題で「日本の誠意ある対応」を強調するばかりで、建設中止を外交メッセージとして生かせなかった。東亜日報(11月8日)は「日本から得るものもなく、韓国政府の歩調の乱れで守勢に追い込まれた」と嘆き、左派系のハンギョレ(11月7日)は「一貫性ある戦略もなく右往左往し、日本に領有権主張の口実を与えた」とし、「外交的な討ち死にに近い」と評した。

 韓国が竹島問題に拘泥しているうちに周囲の外交は目まぐるしく動いた。バラク・オバマ米政権は情報機関を束ねるジェームズ・クラッパー国家情報長官(73)を北朝鮮に派遣し、拘束されていた米国人2人の解放にこぎ着けた。朝鮮日報社説(11月10日)は「外交で重要なのは、相手に対する好き嫌いの感情ではなく、『国益』だと思い知らされた」と評価した。

 歴史問題で韓国と歩調を合わせ、安倍晋三政権を糾弾し続けてきた中国の習近平国家主席(61)が一転、日中首脳会談に応じたことについても、中央日報日曜版(11月9日)は社説で「好悪を離れ、国益追求が外交の本質であることを示す“事件”だ」と伝え、ひるがえって韓国は「疎外される可能性を懸念し、苦心するしかない立場になった」と指摘した。

 追い込まれた朴大統領

 朴政権も手をこまねいているだけでなく、慌てるように中国との自由貿易協定(FTA)を実質妥結させた。韓国内では「13億人の市場が開かれ、大きなチャンスだ」と歓迎の声が出る半面、中央日報(11月13日)は「中国の強力な磁場にのみ込まれれば、属国に転落する可能性も排除できない」と警告する専門家のコラムを掲載。

 ハンギョレ(11月9日)は社説で「わが国の外交が直面する四面楚歌(そか)の状況は表面上ばかりきらびやかで、内容が不十分な外交政策が招いた必然の産物だ」と突き放した。

 朝鮮日報(11月11日)はこんな読者の声を伝えた。「外交の孤立を避けたいなら、意思疎通をおろそかにしたまま原則ばかりを前面に出すのではなく、実利を優先する外交政策に取り組まなければ」。朴槿恵大統領(62)は追い込まれるように、東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議で、安倍晋三首相(60)と足並みをそろえ、「条件なし」の日中韓首脳会談の早期実現希望を表明した。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS

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