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【衆院選】アベノミクス「国民の判断仰ぐ」 首相 21日解散、消費再増税17年4月に延期
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記者会見で、消費税率の引き上げ延期と衆院の解散を表明する安倍晋三(しんぞう)首相=2014年11月18日、首相官邸(酒巻俊介撮影) 安倍晋三首相(60)は18日夜、官邸で記者会見し、来年10月に予定していた消費税率の10%への引き上げを2017年4月に1年半先送りすると同時に、21日に衆院を解散すると表明した。衆院選は「12月2日公示-14日投開票」の日程で行われる。首相は消費税増税の延期について、「今年4月に続き、来年10月に引き上げれば個人消費を抑え、デフレ脱却を危うくすると判断した」と説明。延期の是非に加え、政権が取り組んできた経済政策「アベノミクス」について、国民の信任を問う考えを強調した。衆院選は自民、公明両党が民主党から政権を奪還した12年12月以来2年ぶりとなる。
首相は、消費税再増税について「アベノミクスの成功を確かなものにするため、来年10月には行わず、18カ月延期すべきだとの結論に至った」と表明。その上で、消費を下支えする経済対策を策定する方針を示した。3兆円規模の14年度補正予算を年明けの通常国会で成立させ、デフレ脱却に最優先で取り組む考えだ。
一方、先送りに必要な消費税増税法改正では、今回適用した経済動向によって増税を停止できる「景気条項」を残さず、再延期はしないと断言。「財政再建の旗は降ろさない。消費税率を確実に10%に引き上げ、財政健全化目標も堅持する。十分に国際的な理解は得られる」と強調した。
また首相は解散について「国民生活に大きな影響を与える税制で重大な決断をした以上、国民の声を聴かなければならない」と指摘。「政権の経済政策と成長戦略を前に進めるべきか、国民の判断を仰ぐ」と語り、アベノミクスの是非が争点になるとの考えを示した。さらに「連立与党で過半数を維持できなければアベノミクスは否定されたことになり、退陣する」と明言した。
衆院選では、経済政策のほか、集団的自衛権行使を容認した安全保障政策、関係が悪化している中国や韓国をめぐる外交政策、原発の再稼働問題なども争点となる。
首相が政権発足から2年、衆院任期を2年残したこの時期の解散を決断したのは、大目標である憲法改正も視野に、できるだけ議席を失わずに済むタイミングは今しかないと考えたためだ。
「政治とカネ」をめぐる閣僚の不祥事はあったものの、内閣支持率も自民党支持率も高い水準を保っている。野党の選挙準備が整っていないことに加え、首相が当初構想していた16年の衆参同日選を避けたい公明党の思惑も重なった。
また、首相は「2年で計5%も消費税を上げた先進国はない」と周囲に語るなど、増税に懐疑的だった。実際、増税によるデフレ圧力で7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が2四半期連続のマイナス成長になり、景気は失速した。
自民党内には「財政健全化のためには断固、再増税すべきだ」という意見も根強かったが、首相はそれらを「精神論」と切り捨てた。
現在の安定した議席を減らす恐れがあるなか、首相は勝敗ラインにも言及し、自ら退路を断ち、かけに出た。(SANKEI EXPRESS)