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「性描写」鑑賞ダメ 子供落胆 英映画「くまのパディントン」に異例指定

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「性描写」鑑賞ダメ 子供落胆 英映画「くまのパディントン」に異例指定

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 世界的な人気を誇る英児童文学の名作「くまのパディントン」の実写映画が28日に公開されるのを前に、英国の審査機関が小さな子供が鑑賞するのは好ましくない「PG」に指定し、波紋が広がっている。

 「軽度の性描写が認められる」というのがその理由で、楽しみにしていた子供たちが親に連れて行ってもらえなくなり、興行収入に影響が出るのは必至。原作者や出演俳優、映画ファンからも疑問の声が上がっている。映画鑑賞に制限を設ける「レーティング」をめぐっては、各国で審査の基準が不透明で不公平との声が根強く議論を呼びそうだ。

 原作は累計3000万部

 「くまのパディントン」は、英作家、マイケル・ボンド氏(88)の原作で、ペルーからロンドンにやってきた架空のくまがブラウン家に引き取られ、数々の事件に巻き込まれるという物語だ。マーマレードが大好物で、赤い帽子に青いダッフルコートと大きな旅行かばんがトレードマーク。1958年の第1作から、これまでに70作が出版された。日本語を含め30言語に翻訳され、全世界で累計3000万部が売れている。

 実写での映画化は、人気映画シリーズ「ハリーポッター」と同じ英国の製作会社ヘイデイ・フィルムズの大物プロデューサー、デビット・ハイマンさん(53)が手掛けた。

 CG(コンピューターグラフィックス)のパディントンの声と動きは、名俳優コリン・ファースさん(54)が担当。オスカー女優ニコール・キッドマンさん(47)が悪役の剥製師を演じるなど豪華キャストをそろえた。

 クリスマスシーズンに合わせ28日の英国を皮切りに順次世界各国で公開される。

 女装、せりふが下品?

 ところが、映像等級審査機構(BBFC)は、この映画を保護者に対して「感受性豊かな子供たちを混乱させる可能性について考慮すべきだ」と注意を促す「PG」に指定した。鑑賞を禁止する「R」指定ではないが、子供向けの映画としては異例だという。

 映画では、ブラウン家の父親が清掃係の女性の格好をして警備員の男性から誘いをかけられるシーンがあり、BBFCはこれを「性描写」と認定した。

 また悪者の追跡を逃れるためパディントンが冷蔵庫の中に隠れたり、スケートボードに乗ってバスにつかまったりするシーンを「子供がまねをすると危険」と問題視。せりふについても「一部で軽度の下品な言葉遣いがある」と指摘した。これに対し、配給会社は指定の見直しを要求している。

 原作者のボンド氏は、英紙インディペンデントなどに対し、まだ映画を見ていないとした上で、「何が性的に問題なのか想像できない。原作にそんな要素はまったくない。本当にショックで今晩はよく眠れないと思う」と落胆。父親役を演じたヒュー・ボネヴィルさん(51)もロイター通信に「お笑いぐさだ」とあきれてみせた。

 英国では、ハリポタも第1作が鑑賞に制限のない「U」指定だったのに、第2作以降は「PG」のほか、12歳未満の子供には好ましくない「12A」に指定された作品があり、映画ファンからは「基準が分からない」との声が出ていた。

 ちなみに同じくまでも、素行不良のテディベアが女性とみだらな行為をしたり大麻を吸ったりする大ヒット米映画「テッド」は、英国で15歳未満には好ましくないものの、鑑賞はできる「15」指定だったのに対し、日本では鑑賞禁止の「R15」だった。

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