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米国防長官が辞任 後任に女性元次官ら浮上 「側近政治」加速 オバマ氏孤立も

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米国防長官が辞任 後任に女性元次官ら浮上 「側近政治」加速 オバマ氏孤立も

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バラク・オバマ米大統領(右)が自身の更迭を発表する様子をみつめるチャック・ヘーゲル米国防長官=2014年11月24日、米国・首都ワシントン・ホワイトハウス(ロイター)  米国のバラク・オバマ大統領(53)は24日、ホワイトハウスで記者会見し、チャック・ヘーゲル国防長官(68)の辞任を正式発表した。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の掃討作戦などをめぐる両者の対立が背景にあり、事実上、更迭することで、体制刷新を図る狙いがある。

 大統領は記者会見で、辞任理由には触れず、ヘーゲル長官の功績を評価して謝意を示した。同席したヘーゲル長官も「大統領と私は、今が(辞任の)適切な時期だということで合意した」とだけ説明した。

 米メディアによると、長官の辞任は大統領の要請に基づくものだった。ヘーゲル長官は後任が議会承認されるまで、職務を続ける。

 ヘーゲル長官は「オバマ政権のシリア政策は、アサド政権への対処を明確にしていない」とする書簡をスーザン・ライス大統領補佐官(50)=国家安全保障担当=に送付し、シリア戦略の見直しを求めていた。しかし、オバマ大統領は地上部隊の派遣を拒むなど、溝が深まっていた。

 後任候補には女性のミシェル・フロノイ元国防次官(53)、アシュトン・カーター前国防副長官(60)、ジャック・リード上院議員(65)=民主党=らが浮上している。

 ≪「側近政治」加速 オバマ氏孤立も≫

 オバマ米大統領による事実上の更迭劇で、ヘーゲル国防長官が政権を去ることになった。約2年の任期を残すオバマ大統領は、シリア問題などで異論を唱えてきたヘーゲル長官を排除することで、ホワイトハウスを軸とする「中央集権化」と「側近政治」を強化し、求心力の低下に歯止めをかけながら、歴史に名を残すレガシー(遺産)の追求に躍起となっているようだ。

 シリア問題で衝突

 「(辞任の)決断は、ヘーゲル氏にとり、容易ではなかった」

 オバマ大統領は辞任発表の記者会見で、アジア太平洋へのリバランス(再均衡)戦略や緊縮財政下での国防体制の再構築など、ヘーゲル長官の功績を評価する一方で、辞任理由には最後まで触れなかった。

 ジョシュ・アーネスト大統領報道官(37)によると、今回の決断は、2人が「10月から何度も話し合いを続けた末の結論」だったという。

 ヘーゲル長官はかねて、ロシアがクリミアを武力で併合したウクライナ情勢、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」や対シリア戦略でホワイトハウス側と衝突しており、政権内の意思・政策決定の遅さにも不満も抱いていた。

 ヘーゲル長官は先週、共和党のジョン・マケイン上院議員(78)を訪れ、こうした不満をぶちまけていたという。

 オバマ政権の安全保障チームをめぐっては、ロバート・ゲーツ元長官(71)、レオン・パネッタ前長官(76)も退任後に出版した回顧録の中で、オバマ大統領が国防総省の仕事の細部にまで口を出し、政策決定の過程を「中央集権化」して非生産的にしていると批判していた。

 オバマ大統領はデニス・マクドノー大統領首席補佐官(44)、スーザン・ライス補佐官(国家安全保障問題担当)を軸とする“側近政治”を敷いており、ヘーゲル長官らの批判は、それに対するものである。

 マケイン議員も24日、「2人の前任者とも政権からの口出しが過剰で、それがいかに仕事を難しくしていたかを証言している。チャック(ヘーゲル氏)の場合も同じだ」とオバマ大統領の手法を非難した。

 大統領の身代わり

 一方で、ヘーゲル長官が事実上、更迭されたのは「中間選挙で民主党が大敗した理由の一つに、政権の安全保障政策に対する国民の不満があり、(大統領の)身代わりとして責任を取らされた」(政治アナリスト)との見方もある。

 今のところ、ヘーゲル長官が交代してもアジア再均衡戦略や日米関係、中東政策などに大きな変化はないとみられている。だが、中央集権化と側近政治の強化が今後、吉と出るか凶と出るかは不透明で、状況次第では「オバマ氏と側近は孤立する」(政治アナリスト)との声もあがっている。(ワシントン 青木伸行/SANKEI EXPRESS

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