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勢力拡大する反捕鯨団体シー・シェパード

 日本政府が作成した新しい南極海調査捕鯨計画案をめぐり、反捕鯨団体シー・シェパード(SS、本部・米ワシントン州)の創始者、ポール・ワトソン容疑者(国際指名手配中)がほえている。日本の水産庁が11月18日に計画案を発表した後、ワトソン容疑者はオーストラリアの有力紙シドニー・モーニング・ヘラルドに対し、SSの妨害船3隻が「100%、捕鯨を阻止することができる」と答えた。

 急増する寄付金収入

 日本の調査船団は、南極海をパトロールするSS船に発見されれば、捕鯨をやめ、SSのレーダー範囲から逃げることを作戦にしているが、ワトソン容疑者は、SSの妨害船は日本の捕鯨船よりも速度が速く、追いつくことは可能だ、と豪語する。SS船は航続距離も長く、1回の燃料補給で長期間、航海ができ、日本船団の追跡は以前にも増して容易になっていると言い張る。

 SSが近年、高性能の妨害船や装備品を相次いで購入している背景には、右肩上がりで急増する支援者からの寄付金収入がある。産経新聞が入手した、SSが毎年、米国政府に提出する活動報告書によれば、2004年に120万ドル(約1億4000万円)だった年間収入は直近の12年では、1365万ドル(約16億2000万円)と11倍強に増えた。

 SSはここ数年で、オーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア、オランダや英国、フランスなどの欧州方面でも勢力を拡大しており、寄付金集めキャンペーンやグッズ販売によりそれぞれの国で収入をあげている。米国だけでなく世界全体の総収入は2000万ドル(約23億8000万円)を超えている可能性がある。

 欧州の重要拠点化図る

 中米コスタリカからもサメ漁船に対する過激な妨害容疑で逮捕状が出ているワトソン容疑者は12年5月に、このコスタリカの逮捕状により、ドイツ治安当局に拘束された。しかし、2カ月後、保釈中に仲間の力を借りて国外逃亡した。

 この出来事は、これまで知名度が低かった欧州方面で、勢力を拡大していることを示している。SSの公式サイトによれば、ここ数カ月以内でも、SSはオランダで大規模なイベントを開催。ルクセンブルクのロックバンドはSSとのコラボで新曲を発表した。

 SSは、クジラやイルカを捕獲する日本を野蛮なヒール役に仕立て上げ、有名人を使った広報戦略と虚偽だらけの告発で、環境保護や動物愛護に関心を持つ人々から寄付金を集めるビジネスモデルを確立した。支援者の多い米国、オセアニアに続き、欧州を新たな重要拠点、収入基盤にしようと狙いを定めている可能性がある。

 日本の目視船にも妨害か

 オーストラリアの公共放送ABCによれば、SSは今冬、南太平洋でのマゼランアイナメ(別名・めろ)の反密漁キャンペーンに乗り出す。すでに、妨害船は事実上の母港としているオーストラリアやニュージーランドの港から洋上に出向く態勢を整えている。

 しかし、ワトソン容疑者の“一番弟子”で、このキャンペーンのリーダーでもあるピーター・ハマーシュテッドはABCのインタビューに対して「シー・シェパードは日本政府の活動の監視も続けていく」と話している。

 今冬、日本政府は捕鯨船ではなく、洋上からクジラの数や鯨種を調べる目視船を南極海に派遣し、調査活動をすることを発表しているが、SSはこの目視船に対しても妨害活動を行う恐れが出てきた。

 欧州に潜伏しているとみられるワトソン容疑者は11月28日に新たな声明を出した。

 「日本の調査捕鯨計画がでっちあげであることを世界は知っている」

 きょう2日に64歳になったワトソン容疑者は生涯をかけて、捕鯨船を封じる、とも語っている。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS

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