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【衆院選2014】首相「油断したら負け」 野党は焦り

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【衆院選2014】首相「油断したら負け」 野党は焦り

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【衆院選】街頭演説で聴衆と握手する自民党総裁の安倍晋三(しんぞう)首相。自民党優勢との各社報道に「選挙は油断した方が必ず負ける」と慢心を戒めた=2014年12月4日午後、大阪府八尾市(共同)  ≪自民、300議席超の勢い 民主は70議席台も 衆院選序盤情勢≫

 産経新聞社は第47回衆院選(14日投開票)について序盤情勢を探った。自民党は選挙区、比例代表で優位に立ち、300議席超を獲得する勢い。これに対し、民主党は前回獲得の57議席から20議席程度の増加が見込まれるにとどまり、目標の100議席に届かない公算が大きい。野党にとって共闘の効果が出ていないのはまさに誤算。自民党が堅調なのは、その裏返しともいえる。

 民主党や維新の党などの野党各党は、2012年の前回衆院選で共倒れが相次いだ反省から候補者調整を積極的に進めた。その結果、共産党を除き一本化できた選挙区は194。ただ、協力関係を徹底させている選挙区は少ない。

 民主と維新ですみ分けしただけでなく、選挙協力も進めている宮城1、2区ですら、1区の民主党候補と2区の維新候補はそろって苦戦。共闘に消極的な次世代の党は宮城2区に候補を擁立している。

 そもそも民主、維新、次世代、生活、社民の野党5党のいずれかの候補が競合する選挙区は62もある。ある選挙区では手を握り、別の選挙区では敵対関係とあっては、各党の政策を有権者に浸透させるのは困難といえる。

 自民党が優勢なのは、野党に比べて全国各地に地方組織を築いている点も大きい。来年4月に統一地方選を控えているため、自民党執行部は衆院解散が決まる前から地方議員を引き締めていた。

 安倍晋三首相(60)=自民党総裁=は、かねて「統一地方選で大きな勝利を得て、政権奪還を完成させたい」と語っていた。

 これに対し、もともと地方組織が脆弱(ぜいじゃく)な民主党は、昨年7月の参院選でも惨敗し、党内の士気は下がるばかり。地方組織の立て直しはままならない状況だ。

 経済的な視点も見逃せない。実質経済成長率が高くなると自民党は得票数を増やし、逆にマイナスになると民主党が躍進する傾向にある。アベノミクス開始以来、増え続けてきた実質GDP(国内総生産)は7~9月期で前年より5.7兆円減った。このままでは経済成長がマイナスになりかねないだけに、首相の戦略も透けてみえる。

 ただ、自民党優勢であっても、北海道や沖縄県などで野党候補に劣勢、接戦の選挙区が少なくない。比例代表も自民党支持が強く出ているとされ、まだ投票先を決めていない有権者らの動き次第では流れが大きく変わる可能性がある。

 ≪首相「油断したら負け」 野党は焦り≫

 衆院選の序盤情勢調査で自民党が300議席を超える勢いとなっている産経新聞など各社の報道は4日、大きな衝撃となって与野党に波紋を広げた。各陣営の緩みを警戒する与党は引き締めを強めるのに対し、野党は巻き返しを狙う。与野党とも終盤戦に向けた選挙戦略の練り直しを迫られている。

 98年参院選に言及

 報道にすぐさま反応したのが安倍首相だ。自身の交流サイト「フェイスブック」に投稿し、「まだ選挙は始まったばかりだ。選挙は油断した方が必ず負ける」と慢心しないように呼びかけた。その上で、橋本龍太郎政権下で行われた1998(平成10)年の参院選に言及し、「選挙中、自民党大勝と報道され、結果大敗した」と記した。

 自民党はこの日、谷垣禎一(さだかず)幹事長(69)と茂木(もてぎ)敏充選対委員長(59)の連名で各陣営に「緊急通達」を送付。「与党優勢といった報道がされているが、わが党、各候補者に厳しい選挙戦であることに変わりはない」と戒めた。

 公明党も組織の緩みを警戒する。山口那津男(なつお)代表(62)は4日の常任役員会で「激戦の小選挙区もあり、今後も気を引き締めなければならない」と述べ、重点選挙区や比例代表での票の掘り起こしに努めるよう指示した。

 士気を鼓舞

 「自民300議席超」報道は、野党にも衝撃が走った。野党再編に積極的な民主党の一部からは「自民党に対する選択肢を示せていないからだ。衆院選前に新たな選択肢となりうる野党結集を実現すべきだった」と恨み節が漏れる。

 海江田万里(かいえだ・ばんり)代表(65)ですら苦戦しており、党幹部は「海江田氏の責任論も何も、本人が戻って来られないだろう」と突き放した。

 一方、あるベテラン議員は「報道を見て、自民党を敬遠する人もいるだろう。ここで意気消沈していたらダメだ」と士気を鼓舞する。ただ、ショックは隠せず、復調への手がかりを見いだせないでいる。

 劣勢を伝えられた維新の党と次世代の党にも波紋が広がり、「悔しいが安倍さんの作戦勝ちだ。安倍政権は長く続く…」(維新幹部)。維新の橋下(はしもと)徹共同代表(45)は「おそらく全国では自民党や公明党の議員が増える」と“自民大勝”の流れを認め、次世代の山田宏幹事長(56)も「野党がまとまっていない。もう少し与党が減り、野党が伸びなければ緊張感が生まれない」と焦燥感を隠さなかった。(SANKEI EXPRESS

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