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【衆院選2014】経済政策の是非争点 独自色に躍起

 衆院選の2日公示を受け、与野党9党首の第一声を分析すると、安倍晋三首相(60)=自民党総裁=が争点に掲げる「アベノミクス」に多くの党首が時間を割いていた。経済政策の是非が主要論点となっていることが浮き彫りになった。首相と民主党の海江田万里(かいえだ・ばんり)代表(65)は福島入りし、東日本大震災からの復興に向けた取り組みも訴えた。野党では脱原発や議員定数削減など、独自色の打ち出しに躍起となる姿も目立った。

 首相、実績アピール

 「アベノミクスが問われる選挙だ。何としても勝ち抜いて、景気回復の温かい風を地域に送り届けていく決意だ」。首相は福島県相馬市内の街頭演説で、約19分間の演説時間のうち8分以上を経済政策に充てた。2012年の衆院選と昨年の参院選に続き、福島で選挙戦をスタート。県を縦断する常磐自動車道が来年3月に全面開通すると表明し、復興加速への「実績」をアピールした。

 ただ、いまだに収束しない東京電力福島第1原発事故を踏まえてか、政権として進める原発再稼働への言及はなし。集団的自衛権行使を容認した閣議決定については仙台市で触れただけだった。

 対する海江田氏は福島県いわき市で「首相が経済のかじ取りをしてから2年だが、本当に皆さんの暮らしが良くなったのか」とアベノミクスを疑問視。「政治とカネ」問題や、10日に施行される特定秘密保護法といった有権者の反発が予想される課題を挙げ、政権批判に力を注いだ。

 脱原発、議員削減

 争点が経済政策に集約される中、独自の主張を展開し、票の獲得に懸命なのは中小政党だ。

 公明党の山口那津男(なつお)代表(62)は横浜市内で、17年4月の消費税再増税を見据え、食料品などの消費税率を低く抑える軽減税率に関し「連立政権の約束だ。導入を目指すからには国民の後押しが必要だ」と支持を求めた。

 維新の党の江田憲司共同代表(58)も横浜市内で、国会議員の定数削減など「身を切る改革」の実現を主張したほか、電力自由化や再生可能エネルギーの利用による原発ゼロの国造りを訴えた。

 次世代の党の平沼赳夫(たけお)党首(75)は日本維新の会の分裂をめぐり、江田氏が率いた旧結(ゆ)いの党を批判した上で「安倍内閣がやっているアベノミクスはある意味では評価している」と強調、他の野党との違いを際立たせた。

 共産の志位(しい)和夫委員長(60)は集団的自衛権行使に関する閣議決定について「米軍と自衛隊が肩を並べて戦争する、海外で戦争する国造りこそが正体だ」と非難。政党助成金廃止も打ち出すなど、「自民党対共産党」の「自共対決」の構図に持ち込みたい狙いは鮮明だ。

 埋没懸念し必死の訴え

 残る中小政党も、選挙戦で埋没しないよう必死の訴えを繰り広げた。生活の党の小沢一郎代表(72)は新潟県魚沼市の山間部で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加への反対を表明。アベノミクスや消費税再増税への批判も展開し「自由競争を放りっぱなしにし、強い者が勝ちさえすればいいなら、まさに弱肉強食の世界だ」と呼び掛けた。

 社民党の吉田忠智党首(58)は9月に死去した元党首の土井たか子元衆院議長に触れ「平和国家の礎として、憲法9条を守っていかなければならない」と述べた。新党改革の荒井広幸代表(56)はアベノミクスに賛意を示し、政策本位の姿勢を強調した。(SANKEI EXPRESS

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