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【衆院選】1150人超出馬へ アベノミクス争点 あす公示

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【衆院選】1150人超出馬へ アベノミクス争点 あす公示

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街頭演説に耳を傾ける有権者ら=2014年11月30日、神奈川県横浜市青葉区(蔵賢斗撮影)  第47回衆院選は2日に公示される。与野党9党は14日の投開票に向けて12日間の選挙戦に入り、安倍晋三首相(自民党総裁)の経済政策「アベノミクス」継続の是非のほか、安全保障政策や原発再稼働などをめぐり論戦を繰り広げる。小選挙区295、比例代表180の計475議席に対し、1150人超が立候補を予定している。2012年12月の前回選挙以来、2年ぶりの審判となる。

 「1票の格差」是正のため、定数が5減る小選挙区の出馬予定者は約960人。自民党は公明党が擁立した9選挙区をのぞき、280人超を立てる。民主党は維新の党などと競合を避けるため、約180人にとどめた。維新は80程度、次世代の党は40弱、共産党は292人を擁立。生活の党は13人、社民党は18人を公認した。

 比例代表の候補予定者は810人超。自民、民主両党などは1日に11ブロックごとの名簿順位を発表予定。新党改革は比例代表東京ブロックだけに候補者を立てる。

 安倍首相は30日、横浜市での街頭演説で、消費税再増税の延期に触れ「国民に信を問わなければいけないと決断した。何としてもこの戦いを勝ち抜き、政策を前に進めたい」と訴えた。

 民主党の海江田万里(かいえだ・ばんり)代表は静岡市で演説し「一握りの人をますます豊かにし、格差を固定化してしまう。そんな政治が許されるはずがない」とアベノミクスを批判した。

 維新の党の橋下(はしもと)徹共同代表はテレビ番組で「税金を中低所得者に回す発想が欠けている」と政策の修正を求めた。

 公明党の山口那津男(なつお)代表は東京都内で「賃上げやベースアップをする企業がたくさん現れた」と成果をアピールした。

 次世代の党の平沼赳夫(たけお)党首はテレビ番組で、アベノミクスを評価しつつ「成長戦略の具体性に乏しい」と指摘した。

 共産党の志位(しい)和夫委員長は集団的自衛権や特定秘密保護法に触れ「安倍政権の2年間は強権体質で傲慢だ」と批判。アベノミクスをめぐり生活の党の小沢一郎代表、社民党の吉田忠智党首は「格差の拡大」をもたらしたと非難し、新党改革の荒井広幸代表は評価した。

 ≪「激戦」愛知3区 見えない有権者動向≫

 愛知県は「民主王国」といわれ、2009年の前々回衆院選では民主党が全15選挙区を独占した。前回12年の衆院選では、民主党への逆風に乗じて、自民党が逆に13選挙区で勝利した。衆院選の行方を占う、注目選挙区を訪れた。

 自民「重圧感じる」

 安倍首相が「愛知県で一番厳しい選挙区になる」とみるのが、名古屋市東南部の愛知3区だ。ベッドタウンが広がる同区は、当選6回の民主党ベテラン、近藤昭一元環境副大臣の「金城湯池」だった。前回は、ここに名古屋青年会議所理事長、日本青年会議所会頭(JC)を歴任した池田佳隆氏が自民党新人として挑み、約3700票差で辛勝した。3区で自民党が勝ったのは初めてだった。

 JCといえば麻生太郎副総理兼財務相の牙城だが、池田氏は「安倍のまな弟子」を自任する。06年7月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、たまたま面会した首相(当時官房長官)に「日本は大丈夫ですよね」と聞くと首相はこう言った。「安心してください。日本は私たちが必ず守ります」

 この言葉に感動し、政治家を志した池田氏だが、今回その表情は厳しい。

 「『民主はノー』という風が吹いた前回に比べて今回は厳しい。経験したことのない重圧を感じている」

 池田氏の選挙戦は極めてオーソドックスだ。当選以来、毎週末地元に帰り、さまざまな行事に顔を出すとともに企業・団体回りを続けてきた。今回は「アベノミクスを止めたらおしまいです。民主党には対案さえない」と訴え続ける。

 それでも「近藤ブランド」は強く、その支持者層を崩すのは容易ではない。

 それだけに自民党執行部は「勝てばアベノミクスの浸透を示す象徴区になる」と2日の出陣式には稲田朋美政調会長を、4日には下村博文(しもむら・はくぶん)文部科学相を送り込む。選挙戦後半には首相も3区入りする方向だ。

 民主「追う戦い」

 一方、捲土(けんど)重来を期す近藤氏の陣営は情勢をどう見ているか。陣営幹部は率直にこう打ち明けた。

 「解散前の民主党の調査では10ポイント負けていた。前回でさえ解散時にはこっちが優勢だったのに…。『近藤はいいけど民主はダメ』という人はまだ多い。初めての追いかける選挙戦だ」

 近藤氏は陣営で「05年の郵政選挙と雰囲気が似ている」と語っているという。この時も小泉純一郎首相(当時)の政治手法に反発する有権者は少なくなく、民主党候補の手応えは必ずしも悪くなかった。今回も「安倍政権は嫌だ」という拒否反応は確かにあるが、それが投票行動に結びつく実感がわかないそうだ。

 対して池田氏は「こっちは完全に近藤氏の背中を見ながら走っている感覚なんだが」と首をかしげる。自民、民主両党とも有権者の動向がどうにもつかめない。これが今回衆院選の特徴なのかもしれない。(阿比留瑠比/SANKEI EXPRESS

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