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政治
【衆院選】きょう衆院解散 民主・維新 共闘主導めぐり神経戦
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11月20日、小雨が降る中、ライトアップされ宵闇に浮かび上がる国会議事堂。衆院は21日午後解散され、2012年12月に自民、公明両党が民主党から政権を奪還して以来、2年ぶりの衆院選に突入する=2014年、東京都千代田区(共同) 衆院は21日午後の本会議で解散される。「12月2日公示-14日投開票」の日程で行われる衆院選に向け、与野党各党は事実上、選挙戦に突入する。第2次安倍晋三政権が発足してから約2年。これまでの政権の経済政策「アベノミクス」の評価が最大の争点となる。
政府は21日午前の閣議で解散詔書を決定。午後の衆院本会議で伊吹文明(ぶんめい)議長(76)が解散詔書を朗読し、解散を宣言する。
自民党は25日に、公明党は来週中に公約を決める。自公両党とも円安対策や地方創生などが中心になりそうだ。公明党は消費税再増税の際の軽減税率導入を前面に訴える。野党各党も公約の策定を急いでいる。
一方、解党が決まったみんなの党の山内康一(こういち、41)=比例北関東、中島克仁(かつひと、47)=比例南関東=両衆院議員は20日、民主党に入党を申請した。また、小沢一郎代表(72)以外の生活の党議員が民主党入りする方向となったことも20日、分かった。正式に入党申請があれば受け入れる方針だ。
最大の焦点は、維新の党の橋下(はしもと)徹共同代表(45)=大阪市長=が衆院大阪3区から立候補するかどうかで、党内には最終的に出馬に踏み切るとの見方が強まっている。
≪民主・維新 共闘主導めぐり神経戦≫
民主党と維新の党が野党共闘の主導権争いをめぐり神経戦を繰り広げている。解党が決まったみんなの党からの民主党入りの動きが表面化するなど、その光景は民主党が主導しているように映る。ただ、維新の党の橋下(はしもと)徹共同代表(大阪市長)が衆院大阪3区から出馬すれば、維新が民主党の保守系と糾合する可能性が高まり、主導権は維新が握ることになりそうだ。野党共闘の最終形はまだ見えてこない。
民主党の海江田万里(かいえだ・ばんり)代表(65)と枝野幸男(ゆきお)幹事長(50)は20日、党本部でみんなの党の山内康一(こういち)、中島克仁(かつひと)の両氏と会談。海江田氏は「参加を心から歓迎する」と受け入れを表明し、山内氏らと握手を交わした。
山内氏はその後、記者会見し「安倍晋三政権への対抗軸を作っていかなければならない。核になるのは民主党しかないと前から思っていた」と言ってのけた。埼玉13区から出馬する見通しだ。
もう一人の中島氏は山梨1区から出馬の予定だが、山梨1区の維新の候補者は小沢鋭仁(さきひと)国会議員団幹事長(60)。小沢氏と犬猿の仲として知られる民主党の輿石東(こしいし・あずま)参院副議長(78)は小沢氏落選に向け、徹底的に中島氏を支援するとみられる。
維新の江田憲司共同代表(58)は20日の会見で「ここは譲らない」と明言。橋下氏に近い国会議員団幹部は「民主党は強気になっている。ガチンコでいい」と受けて立つ構えだ。山梨1区が民主と維新の間で火種になるのは間違いない。
同時並行で生活の党議員の民主党への復党問題も動き出した。関係者によると、生活の小沢一郎代表は10月下旬、都内で輿石氏と会談した。小渕優子前経済産業相(40)と松島みどり前法相(58)が辞任したのは10月20日。年内解散の可能性を感じ取った小沢氏は、生活と民主との合流を打診した。だが、会談に立ち会った民主党幹部は、首を縦に振らなかった。
そこで小沢氏が提案したのが、小沢氏以外の鈴木克昌幹事長(71)ら生活議員の民主党への「復党」だった。小沢氏は周囲に「俺は無所属でいいんだ」と漏らしているが、理想は新党結成とされる。
そうした民主党を軸とした動きが表面化してきたことから、維新サイドは警戒している。「維新が主導権を握るには橋下氏の出馬しかない」と訴えるのは国会議員団幹部。橋下氏の存在は維新の切り札で、大阪3区への立候補が決まれば、そのインパクトは大きく、民主党の存在感は相対的に低下する。
橋下氏に近い民主党の前原誠司(52)、松本剛明(たけあき、55)両元外相や細野豪志(ごうし)元幹事長(43)、長島昭久元防衛副大臣(52)は19日、国会内で海江田氏と会い、維新との新党結成を求めた。海江田氏は「民主党で戦う」と受け入れなかったが、そうした前原氏らの行動は橋下氏の国政進出を見越した上での行動とみられる。
橋下氏はかねて労組系議員を忌避している。橋下氏が民主党の保守系議員と手を握れば、主導権は橋下氏サイドに移る。橋下氏が希望するのは民主党の分裂だ。橋下氏は20日、市役所での記者会見で、こう語った。
「自分で基準を決め、それに照らし合わせて判断する。最後は自分の判断を信じるしかないですよね」(SANKEI EXPRESS)