SankeiBiz for mobile

【佐藤優の地球を斬る】外交的に意義 警視庁が名指しで「在特会」注視

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの社会

【佐藤優の地球を斬る】外交的に意義 警視庁が名指しで「在特会」注視

更新

大阪市内で街宣活動をする「在日特権を許さない市民の会」のメンバーら=2013年3月(共同)  警察庁は3日、2014年版「治安の回顧と展望」を発表した。この文書には秘密指定がなされていない。普通の国民が、テロや過激派の脅威について、警察の専門家の見方を知ることができる貴重な資料だ。

 愛国心と拝外主義は違う

 <「在日特権を許さない市民の会(在特会)」を、「極端な民族主義・排外主義的主張に基づき活動する右派系市民グループ」の一つとして、初めて団体名を明記して動向を取り上げた。

 警察庁によると、今年、在特会をはじめとする右派系市民グループによるデモを13都道府県で約110件(10月末時点)確認。グループの過激な言動を「ヘイトスピーチ」と批判する反対勢力との暴行事件なども相次ぎ、全国の警察は双方計35人(同)を摘発した。

 回顧と展望は、来年も両者間のトラブルが懸念されるとした。警察庁の担当者は、在特会に直接触れた理由を「(右派系市民グループの中で)象徴的、代表的だからだ」と説明した。

 シリアとイラクで台頭する過激派「イスラム国」にも言及。巧妙なメディア戦略で若者を引きつけ、「世界から多くの戦闘員が参加している」として、自国へ帰国後にテロを起こすことに懸念を示した>(12月3日の産経ニュース)

 在特会について、警察が「極端な民族主義・排外主義的主張に基づき活動する右派系市民グループ」という位置づけを行ったのは適切だ。日本人が自国を愛し愛国的な言説を展開することと、特定の民族や人種にゴキブリ、ゴミというようなレッテルを貼り、「死ね」「日本から出て行け」という言説を唱えることは、本質的に異なる。在特会のような排外主義的言説を放置しておくと、国際社会において日本は文明国の人権基準を満たしていないという誤解を招きかねない。中国や韓国、北朝鮮、ロシアに対して付け込む隙を与えかねない。警察が在特会を警戒する姿勢を示したことは外交的にも意味がある。

 日本人テロリスト情報

 10月6日に警視庁公安部が「イスラム国」に渡航し、ジーハード(聖戦)戦士になろうとしていた北海道大学生(休学中)から事情聴取し家宅捜索を行ったというニュースが流れた後、この問題についてはあまり報じられなくなった。しかし、国際社会は日本人ジハード戦士問題に強い関心を持っている11月18日、イラン国営「イランラジオ」が日本向けに興味深い放送をした。

 <イラクで、40名以上の日本人がテロ組織ISISのメンバーとして活動しており、このうちの一部がイラクの首都バグダッド北方のディヤーラ県と、サラーフッディン県で逮捕されたことが明らかになりました。

 イラクのテレビ局・スメリアニュースが、匿名の治安筋の話として伝えたところによりますと、「日本人テロリストは、北部ニーナワー県、ディヤーラ県とサラーフッディン県、そしてキルクーク県南部と西部で活動している」ということです。

 この治安筋はまた、「イラク軍は、サラーフッディン県の町バイジやディヤーラ県で複数の作戦を実施し、日本人テロリスト数名を逮捕した」としました。

 これらの日本人テロリストは調べに対し、空路でイラクにやって来たことを認めています>(11月18日「イランラジオ」日本語版ウエブサイト)

 「イランラジオ」は、事実に基づかないプロパガンダ(宣伝)を行うことがよくある。しかし、この報道では、日本人テロリストが逮捕された場所が具体的に明示されている。外務省は、この報道が事実であるか、イラン政府に照会して事実関係を確認する必要がある。「イスラム国」と本気で戦っているイランの情報を活用すべきだ。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

ランキング