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【相川梨絵のバヌアツ通信】「昔話」をまとめたすてきな本

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【相川梨絵のバヌアツ通信】「昔話」をまとめたすてきな本

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ともにバヌアツに魅了され、その後の人生を大きく変えることになった相川梨絵さん(右)とマグダレナ・リビングストンさん=2014年10月30日、バヌアツ(相川梨絵さん提供)  先日、すてきな出会いがありました。彼女の名は、マグダレナ・リビングストンさん。バヌアツ各地で言い伝えられているお話をまとめて絵本を出版された方です。

 もともと、スイスで科学者をしていたという彼女。仕事で疲れていたときに旅行でバヌアツを訪れました。そこで、自然と共存している暮らしに感銘を受け、もっとバヌアツのことを知りたいと、半年後に再びバヌアツ行きを計画します。しかし、職場から休暇を取ることを許されなかったため、仕事をやめて再訪しました。

 各地で聞いて集め

 いろいろな場所で、いろいろな人がその土地に伝わるカスタムストーリーを彼女に話してくれました。しかし、地元の子供たちはこれらの話を知らなかったそうです。バヌアツには文字がなく、すべて口伝えで伝承されているため、ストーリーが消えつつありました。

 彼女は、バヌアツの子供たちに彼らの物語を残さなければならないと思い、絵本を作ることを決めたのです。初めてバヌアツに来てから13年後の今年、やっと本が完成しました。その間に、彼女はバヌアツに近いオーストラリアに住居を移し、仕事も本の制作の助けになるグラフィックデザイナーになりました。

 完成した彼女の本は全3冊40のストーリー。これは、すべて彼女が各地を回って聞いたお話です。自費出版で、彼女の利益は一銭もなし。本代は、すべて印刷代に回ってしまうのだそうです。そこまでバヌアツに魅了された彼女の人生-私も共感するところがあります。バヌアツは人々を虜(とりこ)にする国なのです。

 「ナンゴール」の起源

 さて、彼女の本の中から、「ナンゴール」と呼ばれるバヌアツの代表的なバンジージャンプのお祭りの起源をご紹介します。

 ナンゴールの起源は、1組の夫婦でした。この夫婦は、家族に決められた結婚でした。妻は、まだ若かったので、とても嫌でした。夫は、妻といちゃいちゃしたく、すぐに近づいてきます。妻は本当に嫌で何回も逃げだしました。その度に夫に見つかり、連れ戻されます。嫌で嫌で、夫を殺したいと思っていました。

 そんなある時、夫が寝たすきをついて、ジャングルへ逃げました。すると、バニヤンの木の上からつるが垂れているのを見つけました。これを使って何とか夫から逃げられないかしら? そう考えた妻は、つるを彼女が地面につかない長さに準備をしておきました。

 後日、再び妻が逃げると、夫が追いかけてきました。彼女は急いでバニヤンの木に登り、準備したつるを見つけて足に縛ります。夫も木に登ってきました。捕まりそうになったその時に、妻は木の上から飛び降りました。夫は、自分のせいで妻が死んだと思い、自分も一緒に死ななくてはと考えました。そして、木から飛び降ります。横たわる夫をみて、妻はとても悲しく泣き出してしまいました。

 実は、夫は気絶しているだけでした。妻は、若葉を両手にもって歌を歌い始めました。すると、夫が目をあけ、息を吹き返しました。妻はとてもうれしく、その後、2人は幸せに暮らしました。夫は、2人の出来事を皆に知らせたい、そのためにもう一度飛び降りなくてはと考えました。

 読んでみてください

 これが、ナンゴールの始まりです。最初は女性も飛んでいました。女性はバナナの葉っぱで作ったスカートしかはいていなかったために、飛び終えたときにスカートの中が丸見えになってしまい、これはよくないと、男性だけが飛ぶようになりました。今では女性はやぐらを触ることもタブーとされる勇敢な男のお祭りになっています。

 ■あいかわ・りえ 1977年東京生まれ、茨城育ち。横浜国立大学卒業後、2000年共同テレビ入社。フジテレビアナウンス室に出向し、フジテレビアナウンサーとして「笑っていいとも!」をはじめバラエティー、情報番組などに出演。06年、フリーに。12年、結婚とともにバヌアツ共和国に移住、「バヌアツ親善大使」に任命される。13年、「いばらき大使」を委嘱。ダブル大使としてバヌアツと茨城の懸け橋となるべく奮闘中。ブログ「相川梨絵のシャララーン劇場」でもバヌアツ生活を公開中。(ameblo.jp/aikawa-rie/

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