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政府経済対策3.5兆円 きょう閣議決定 「痛みをケア」 アベノミクス第2章
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閣僚と有識者による「まち・ひと・しごと創生会議」であいさつする安倍晋三(しんぞう)首相(右)。政府の経済対策もまとまり、いよいよ「刺激から目配り」へ、アベノミクスの第2章が始る=2014年12月26日午前、首相官邸(酒巻俊介撮影) 政府は26日、景気を下支えする経済対策の全容を固め、自民、公明両党に提示した。家計・中小企業支援や地方活性化、災害・防災対策が柱で、総額3兆5000億円程度投じる。27日に閣議決定する。政府は今回の経済対策と30日に取りまとめる税制大綱や2015年度予算案と合わせ、4月の消費税増税後に失速した景気をてこ入れする。
財政状況の厳しさを反映し、対策規模は昨年の5兆5000億円より小さくなる。対策の財源となる3兆円程度の14年度補正予算案は、来年1月9日に閣議決定する予定。
生活者・事業者支援では、物価の上昇や円安の進行で負担が増えている家計のほか、中小、零細企業にも目配りした。新設する交付金では地域限定で特典付きの商品券を配ったり、低所得者向けに灯油購入費を補助する。全国からの需要を呼び込むため、特産品の販売や旅行券の発行も想定している。
また、住宅需要の掘り起こしを目指し、長期固定型の「フラット35S」の金利引き下げ幅拡大や、省エネ性能の高い住宅を新築・改修した人にポイントを付与する「住宅エコポイント」も再開。人口減対策として結婚、出産、育児に向けた支援も行う。
地方活性化では都市部への人口流出を食い止めるため、出身地での再就職や都市部から地方に移住する「UIJターン」の促進や、地域企業が有能な人材を全国から広く集める事業を支援する。企業のロボット導入の実証事業も盛り込み、企業の生産性向上を後押しする。
公共事業は広島市での豪雨による土砂災害など、今夏の大規模自然災害からの復旧事業が中心となる。9月に発生した御嶽山(おんたけさん)噴火災害を受け、火山観測体制も強化する。
≪「痛みをケア」 アベノミクス第2章≫
政府の経済対策が26日、取りまとまり安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の“第2章”がいよいよ始動する。対策から浮かび上がるキーワードは「刺激からケアへの転換」。足腰の弱い地方や中小企業向け対策を重視。金融政策によるカンフル効果が前面に出た“第1章”とは一線を画す目配り戦略で、デフレ脱却への道筋を照らす。
「地方や消費というキーワードにピンポイントで対策がなされ、かなりいい点数がとれると思う」。甘利明(あまり・あきら)経済再生担当相(65)は26日の会見で、経済対策の出来栄えに胸を張った。
だが、強気の言葉とは裏腹に、まとまった経済対策からは、政府の深刻な景気認識が見て取れる。「物価の上昇に家計の所得の増加が追いついていない」「地方においては、『三本の矢』による経済効果がなかなか行き渡らず」。アベノミクスの自己否定とも取られかねない表現が並ぶ。
行間ににじむのは、過去20年にも及んだデフレ経済が、どれほど経済の担い手である企業や家計をむしばんでいたか-、その病理の根深さを読み切れなかったことへの悔悟の念だ。
ほぼ2年前、大規模な金融緩和で幕を開けたアベノミクスは、円安・株高による資産効果や輸出企業の業績回復を生み出す一方、少子高齢化や所得格差への対応は後手に回った。結果、4月の消費税増税と物価高は、脆弱(ぜいじゃく)性の残る地方や中小企業などに深手を負わせた。首相も国会答弁で「(消費税増税の影響は)想定内だが、想定の中で最悪」と唇をかんだ。
今回の経済対策は、アベノミクスの衣替えに向けた一里塚となる。これまで成果を上げてきた金融政策などのマクロ政策を維持しつつ、現場で生じる痛みのケアに注力する、いわば「弱きを助けるアベノミクス」への転換だ。地方や中小企業への支援をふんだんに盛り込んだことはその証左であり、住宅エコポイントの復活など、景気への即効性にもこだわった。
焦点は今後、掲げられた政策の具体化に移る。例えば自治体が使い道を自由に決められる交付金などは柔軟性に富む一方、地域ごとに効果や進捗(しんちょく)にばらつきが生じる可能性もある。看板倒れに終わらないためにも、政府のきめ細かなサポートは欠かせない。
安倍首相(60)は新政権発足後の会見で経済以外の政策課題を問われ、こう答えた。「強い経済あってこそ、強力な外交が展開できる。さまざまな課題に取り組むことは当然だが、基礎になる強い経済を取り戻さなければならない」。デフレ脱却の先に見据えるのは、世界に向けて敢然と立つ日本の姿。その牙を研ぐのが、ほかならぬアベノミクスだ。(佐久間修志/SANKEI EXPRESS)