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横暴、隠蔽…韓国財閥の「悪習」露呈 ナッツ前副社長 裁判所に出頭

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横暴、隠蔽…韓国財閥の「悪習」露呈 ナッツ前副社長 裁判所に出頭

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ソウル西部地裁に出頭した大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長(中央)=2014年12月30日、韓国・首都ソウル(AP)  大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長(40)が、自社機内で客室乗務員のナッツの出し方に怒り、離陸直前の旅客機を引き返させて責任者を降ろした事件で、趙氏は30日、検察が請求した逮捕状の発付の是非を判断する審査のため、ソウル西部地裁に出頭した。ソウル西部地検は逮捕状が発付され次第、航空保安法違反などの容疑で趙氏を逮捕する。「ナッツリターン」という流行語まで生み出した一連の騒動では、同族支配の横暴や官民癒着、醜聞の隠蔽(いんぺい)といった韓国財閥の典型的な“悪習”が次々と露呈した。

 問題の発覚後、乗務員らに虚偽の証言を強要した疑いがもたれている大韓航空の常務(57)についても、地裁は逮捕状発付の判断をする。

 地検は、航空保安法上の航空機航路変更と航空機安全運航阻害暴行、刑法上の強要などの容疑で、24日に趙氏の逮捕状を、証拠隠滅容疑で常務の逮捕状をそれぞれ請求。また、常務に国土交通省の調査内容を漏らした疑いで、26日に国交省の調査官を逮捕している。

 「逆天下り」で癒着

 趙氏は、大韓航空を傘下に置く財閥、韓進グループの会長の長女で、財閥3世。韓国世論は、労せずして財閥企業の役員となった「お嬢さま」による権力をかさに着た横暴さと、同族財閥企業の身内重用の体質を猛烈に批判した。

 韓国の財閥のほとんどは創業者一族による経営で、韓国経済の大部分を財閥が占めている。大韓航空は朴正煕(パク・チョンヒ)政権当時、赤字続きの国営会社を韓進グループの創始者(趙氏の祖父)が引き継いで民営化した。政権にも近いとされる。

 問題発覚後、大韓航空の常務が中心となり隠蔽工作に走ったことも社会の怒りを買った。この常務は大韓航空に15年間勤務していた国交省の調査官と数十回にわたり連絡をとり、趙氏を守るために奔走した。

 この調査官は常務だけでなく、大韓航空の他の役員とも親密な仲で、常務らに事件の調査内容を漏らし、秘密漏洩(ろうえい)の容疑で逮捕された。財閥企業から国交省への「逆天下り」と、昔の関係を利用しての便宜供与などの癒着ぶりには、「珍しくもない」との冷ややかな声もある。

 実際、大韓航空に国交省の職員が搭乗した際は、エコノミークラスからファーストクラスへの座席の「格上げ」が当然のように行われていたという。

 「国の恥」との声も

 一連の騒動は韓国国内だけでなく海外でも関心を集め、日本でもワイドショーがソウル発のニュースとして連日報道。韓国でも「国の恥だ」(韓国メディア)との声が出ている。

 趙氏の父親で韓進グループ会長の趙亮鎬氏は2018年の平昌冬季五輪の組織委員長も務めており、今後、父親の進退に発展する事態となれば大会の準備に影響する可能性もある。(ソウル 名村隆寛/SANKEI EXPRESS

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