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社会
企業8割超 「今年の景気、上向く」
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大手百貨店の初売りが1月2日、始まり、三越日本橋本店では福袋などを求める買い物客でにぎわった=2015年、東京都中央区(宮崎瑞穂撮影) 産経新聞社が主要企業122社を対象に実施したアンケートで、2015年の国内景気が上向くと予想する回答が8割を超え、消費税増税による景気低迷からの脱却に多くの企業が期待を示していることが分かった。安倍晋三政権による消費税再増税の1年半延期については40%が評価するとしたが、17年4月には予定通り再増税すべきだと回答した企業が6割を上回った。今年の景気について、「改善」と予想した企業は16%。「やや改善」の68%を含めると計84%の企業が景気好転を予想した。
「(昨年4月の消費税増税の)駆け込み需要の反動減はやわらぎ、個人消費が回復する」(不動産)、「日銀の大規模な金融緩和の(円安・株高)効果が景気を下支えする」(金融)、「世界経済の持ち直し」(商社)などの理由で企業心理は上向きつつある。昨年12月の衆院選で与党が大勝し「政権が安定する」(電機)ことも安心材料になっているようだ。昨年からの急激な原油安も、企業からは「景気を下支えする」(エネルギー)と歓迎する声が多かった。
これに対し、新年の景気が「やや悪化」と回答したのは1社のみ。「円安による物価上昇に賃金の上昇が追いつかない」と実質賃金の低下を懸念している。
一方、消費税率10%への引き上げ延期は40%の企業が「評価する」と回答。「景気後退を避けられた」(金融)、「14年7~9月期の国内総生産(GDP)マイナス成長などを考慮するとやむを得ない」(食品)との声が上がった。
昨年は円安効果で訪日外国人旅行者が初めて1300万人を突破し、特需にわいた運輸・旅行業界も「個人消費回復の後押し要因になる」と日本人旅行者のマインド改善に期待を寄せる。
ただ、17年4月の再増税については「もっと税率を上げるべきだ」と「やるべきだ」を合わせると67%。「社会保障制度のための安定財源確保」(保険)や「将来的にはさらなる税率アップが避けられない」(自動車)などの意見が多かった。背景には、財政規律が保てなくなれば、国債の金利急騰(価格急落)を招くとの懸念がある。
しかし、「柔軟に考えるべきだ」と「引き上げるべきではない」も計17%。価格競争の厳しい小売りを中心に慎重派が多い。
アンケートは、衆院選直後の12月中旬に実施した。(SANKEI EXPRESS)