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「音楽の都」 知られざる魅力 オーストリア・ウィーン
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大みそかの夜、首都ウィーン市庁舎前の広場で開催された街頭舞踏会。ウィーンの人々は、様々なタイプの楽曲に乗って踊り明かし、新年を祝う=2014年12月31日、オーストリア(AP)
オーストリアの首都、ウィーンといえば、「音楽の都」としてあまりにも有名だ。長く中部ヨーロッパの文化の中心をなし、19世紀後半まではドイツ語を母語とする民族全体の“帝都”でもあった。日本人にとってもウィーンは欧州観光の定番になっているが、意外と知られていない素顔も持ち合わせている。AP通信が写真とともに配信した記事を元に、「宴」「水」「景勝」の3つのキーワードでウィーンの新たな魅力を探ってみた。
ウィーンの人々が新年を迎える「宴」は壮麗だ。大みそか(シルベスター)には、街の随所に「シルベスター村」が出現して夜通し、街頭舞踏会が行われる。
2014年から15年にかけても、市庁舎前の広場には観光客も含めて延べ十数万人の人々が集まり、シルベスター舞踏会に興じた。ユニークなのは、楽曲がクラシックに限定されておらず、ロック、ジャズ、ソウル、ラテンミュージック…等々、多岐にわたり、合わせて12ステージも行われたことだ。まさに国際観光都市の面目躍如といったところだった。
ただ、多様性が進む中でも、年が替わって最初に流される楽曲は、毎年「美しき青きドナウ」に決まっている。ヨハン・シュトラウス2世(1825~99年)によって1867年に発表されたこのワルツの名曲は、ウィーン市民のみならずオーストリア国民全体にとっても「第二の国歌」と称されるほど愛され、親しまれているのだ。
ウィーンは「水」がうまいことでも欧州随一の都市である。ヨーロッパでは先進国の首都でさえ、日本人観光客や駐在員は水道水を飲まず、ボトル入りのミネラルウオーターを買うことが多いが、ウィーンでは安心して水道水が飲める。「ウィーン水」は知る人ぞ知る欧州の名水なのだ。
ウィーン水の特徴は、アルプスの自然な湧き水であること。市中心部から約160キロ離れた水源から、ローマ時代の遺跡を見るようなシンプルな水路で水を運んでいる。くみ上げたり搬水のためにポンプなどの機器類は一切使っておらず、世界に誇る水質であることがウィーンっ子の自慢だ。
また、ウィーンの喫茶店でコーヒーを頼むと、必ずと言ってよいほどコップ1杯の水(無料)がセットで出される。日本でも喫茶店に入ると、注文を取る前にまず水が出てくるが、これは欧州にはない習慣だ。有料のミネラルウオーターを頼まない限り、水は出ないのが普通である。しかるに、ウィーンでは水が出されるのは、「おいしいのでコーヒーとともに是非ご賞味あれ」という、街全体の意思表示に他ならない。
ちなみに日本でいうところの「ウィンナー(ウィーン風の)・コーヒー」なる言葉は、ウィーンには存在しない。また日本では、濃くいれたコーヒーにホイップクリームを厚く浮かべたものをウィンナー・コーヒーと称しているが、ウィーンの人々が日常的に飲んでいるのは、ミルクを加えたエスプレッソにミルクの泡を軽く乗せたタイプのもので、見た目がだいぶ異なる。
「音楽の都」ウィーンは、実は「ワインの都」でもある。欧州といわず世界の大都市の中で唯一、市内及びその周辺で大量のワインを生産しているのがウィーンだ。その歴史も古く、2000年以上前から生産されていた。にもかかわらず知名度が低いのは、高品質を保つために生産量が限定されているからだ。ほぼ大半が国内で消費され、ほとんど輸出されていない。街には「ホイリゲ」と呼ばれるワイン専門の居酒屋が多数あり、ワイン通には必参のスポットになっている。
そんなワインの都を支えるブドウ畑から見下ろす「景勝」も、ウィーンの観光資源になっている。特に人気が高いのは、ウィーンの森の東北端にあり、市街やドナウ川が一望できるビューポイント「カーレンベルク」だ。ウィーンが2度目以上の人なら、ホイリゲで知られざる名酒を味わい、その足でカーレンベルクに向かえば、きっと心洗われるに違いない。(SANKEI EXPRESS)