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【エコノナビ】「良さ」再発見こそ地方創生

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【エコノナビ】「良さ」再発見こそ地方創生

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まち・ひと・しごと創生総合戦略の主な目標・施策と長期ビジョン=2014年12月27日現在。※目標は2020年時点  「大空と大地の中で」は、シンガー・ソングライターの松山千春の代表作の一つだ。イントロを聴けば、すぐさま松山の地元、北海道十勝の雄大な風景が目に浮んでくる。

 その十勝地方は今、「十勝ブランド」を確立し一次産品だけでなく、乳製品、ワイン、スイーツでも有名な一大観光地になっている。これによって地元に多くの雇用も創出した。

 昨年からは、国際協力機構(JICA)の協力を仰ぎ、タイやマレーシアなどアジアへの販路拡大をめざす動きもみせている。松山が「自分の腕でつかむよう」願った成功を十勝地方は実現しているといっていいだろう。

 政府は年末、今後5年間の地方活性化政策を「総合戦略」にまとめた。その戦略の肝心な点は実施主体が国ではなく、地方ということだ。政府は各自治体に「地方版総合戦略」の策定を求めており、市町村は地域の住民や企業、非営利団体(NPO)などと連携しながら、独自に地方創生を模索することが求められる。

 市町村単位だけではなく、十勝のように自治体が横連携する中で知恵を絞らないとならないだろう。近ごろ流行の観光による地域興しだけでは挫折する地方が続出する懸念がある。

 ここはまず、自らの地元の良さや強みを再発見し、それを育てることが求められる。住民だけでは考えが煮詰まってしまうので、他の地域の人々も受け入れ、多様性の確保も必要だ。

 米国のノンフィクション作家、スティーブン・ジョンソン氏は「イノベーションのアイデアを生み出す7つの法則」という著書で「自分のアイデアの上に他の人が立つのを認める、借用し、リサイクルし、作り直す」ことを提唱している。イノベーションは特別な人だけが起こすものではなく、人とアイデアと場をごちゃごちゃにつなぐことで生まれるという。

 具体的には、地域の歴史、文化といったソフトの部分を、中小企業や個人などが持つ技術や技能と結びつけ、地域の魅力を高めていくべきだろう。地方再生なくして日本再生もない。それを肝に銘じながら。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

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