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【エコノナビ】手抜きは信頼失う

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【エコノナビ】手抜きは信頼失う

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 勤務先のインフラ会社からただ一人派遣され、アジアで下水道整備の技術指導をしている友人が久々に帰国したら、「現地の建設業者らと闘争中」と穏やかでない。

 話を聞くと、工事中の施設の壁は本来、400ミリの厚さが必要なのに、現地の業者らは壁の厚さを強調するように太く描きながら、その脇には小さく200ミリと書いた図面を持ってきて承認しろといってきたという。

 それに対して友人は拒否し、訂正を求めたところ、業者らは発注元の地元自治体に働きかけて友人を罷免するよう要求した。もちろん、友人は業者らに反論するレターを自治体に提出。その間、工事は中断という状態だ。

 途上国ではこうした手抜き工事によって利益を水増しするケースが少なくないという。それによる建物倒壊で死傷者が出る悲劇も頻発している。

 友人は最終的な工事責任者であり、現地の住民らの安心、安全にかかわることだけに「目をつぶるわけにはいかない」と強調する。日本の企業が請け負うさまざまな途上国の現場で、倫理を曲げない日本人技術者がいることは頼もしい限りだ。

 日本では2002年11月に岐阜県で発覚した橋の手抜き工事や05年11月の耐震偽装事件などを経て、手抜き工事が起きないようにする法整備が進んできた。全日本建設技術協会が認定する公共工事品質確保技術者という制度もできた。

 しかし、電気工事関係者によると、日本でも東日本大震災に伴う公共工事増と人手不足などの影響で水面下で手抜き工事が行われているケースがあるという。また、民間の住宅建築などでも外から見えない天井や床下などのところで、手抜きや欠陥工事が行われていると指摘する。

 中東の産油国など海外の大型プロジェクトの受注競争だけでなく、途上国の経済発展に伴って日本の建設会社の海外進出の事案が増加している。コストを無視した入札競争の揚げ句の手抜き工事では信頼を失うだけである。日本は途上国の模範となる安心・安全を追求してもらいたい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

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