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食品や紙製品 続々値上げ 価格転嫁本格化 消費回復に冷や水

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食品や紙製品 続々値上げ 価格転嫁本格化 消費回復に冷や水

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都内のスーパーの乳製品売り場。生乳価格の上昇で値上げの動きが広がっている=東京都内(共同)  2月から3月にかけて冷凍食品や乳製品の値上げが相次ぐ。円安による輸入原材料の高騰をメーカーが販売価格に転嫁する動きが本格化している。消費者は外食を控えたり、安い食品スーパーで買い物をしたりするなど節約志向を強めており、個人消費の回復に冷や水を浴びせそうだ。

 食品では、中国や東南アジアから加工品を輸入しているギョーザや空揚げなど冷凍食品の値上げが目立つ。円安に加え、人口が増える新興国での需要の高まりを受けた原材料自体の価格上昇も影響している。

 ニチレイフーズや味の素冷凍食品、テーブルマーク、日本水産の冷凍食品大手は2月1日から、家庭向けの主要商品を約3~10%値上げする。日清食品冷凍はパスタなど約30品を3月1日出荷分から約3~10%引き上げる。

 その他の食品では、ハウス食品がカレールウなど計159品の希望小売価格を2月16日出荷分から約8~10%値上げする。ジョンソンヴィル・ジャパンはソーセージ10品を2月から順次、平均約8%引き上げる。

 生乳価格が上昇していることが影響し、乳製品の価格も上がる。明治、森永製菓、江崎グリコ、ロッテアイスの製菓大手はアイスクリームの主力商品の価格を3月から約8~10%引き上げる。

 スターバックスコーヒージャパンは牛乳を使用する氷飲料「フラペチーノ」の6品を2月15日から3~5%程度値上げする。

 日用品では印刷用紙の価格が上がる。王子製紙、日本製紙、大王製紙、三菱製紙の製紙大手は2月1日出荷分から価格を10%以上引き上げる。

 米映画テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、1月30日から1日券「スタジオ・パス」の大人料金を6980円から7200円に引き上げた。

 電力やガスの2月料金は、東北、東京、中部、関西、中国、九州の電力6社と、東京、東邦、大阪、西部のガス大手4社が上がる。原油や液化天然ガス(LNG)など、昨年9~11月の燃料の平均輸入価格を基に算定した。原油が下落する一方でLNGや石炭の価格が上昇した。

 一方、原油安を背景に日本航空と全日本空輸は、2月発券分から国際線の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を値下げする。

 ≪日銀追加緩和が引き金 円安見越す≫

 食品や製紙メーカーが相次いで値上げに踏み切るのは、昨年10月に日銀が決定した追加金融緩和が大きなきっかけになったとの見方が多い。大規模な金融緩和で今後も円安基調が続き、輸入原材料価格が上昇すると見越して、各メーカーは値上げ判断に傾いた。

 昨年10月31日に日銀が追加緩和を決めると、東京外国為替市場は円売りドル買い注文が急増。円相場は追加緩和直前の1ドル=109円前後から、昨年12月上旬には121円台をつけるなど急速に円安が進んだ。

 冷凍食品大手ニチレイフーズの担当者は、この時の円相場を見て「もう限界だと感じた」と振り返る。

 冷凍空揚げ「若鶏の香り唐揚げ」をはじめ鶏肉を使う主力商品は、タイの工場で加工してドル建てで輸入している。円に換算すると約1割の費用増となる。

 ニチレイは円安が進み始めた2013年度以降、生産コストを抑えることで価格を据え置いてきたが、昨年11月に販売価格の引き上げが必要と判断。約7年半ぶりに値上げすることにした。

 一方、製紙各社も円安で輸入原料の木材チップが高騰したことが経営の重荷となっている。製紙大手の王子製紙は「追加緩和以降、朝起きたら対ドルで1~2円円安が進んでいるという状況では、銭単位のコスト削減ではとても間に合わない」と説明した。(SANKEI EXPRESS

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