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絆つなげ 宮城の「今」を聞く(下) 地域活性化へ チャレンジ後押し
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「地域の活性化に外部の人を巻き込むことが大切だ」と話すアスエノキボウ代表理事、小松洋介さん(左)=宮城県牡鹿郡女川町(中央大学_有志学生記者撮影)
≪「アスヘノキボウ」代表理事 小松洋介さん 起業家支援 ハブで外部巻き込む≫
東日本大震災の被災地の復興には、まだまだ多くの時間やお金、そしてなによりも人員が必要だ。そんな中で大きな力を発揮しているのが、「起業家」の人たちだ。彼らの多くは震災を機に元々の仕事を辞め、被災地で会社を立ち上げて復興に携わっている。そんな起業家の一人である、特定非営利団体「アスヘノキボウ」の代表理事を務める小松洋介さん(32)に話を聞いた。
宮城県出身の小松さんは震災後に、リクルートホールディングスを辞め、被害の大きかった宮城県女川町で起業した。アスヘノキボウは、新規事業の立ち上げや事業再建、起業した後の経営安定化の支援などを主な活動内容として、まちづくりに携わっている。
小松さんは自らの役割を車輪の中心部である「ハブ」と位置づける。「現地の人たちの思いや考えを、外部の人たちに論理立てて説明して、外を巻き込みながら設計して形にしていくみたいな役割が必要だ」と考えたからだ。
被災地では、多くの起業家が地域活性化のために働いている。自分の目で見て、何がいま必要とされているかを市民の目線で考え支援を行う。だが、地域活性化という仕事自体の価値があまり認められていないように感じている。「地域活性化や地域興しの事業を世の中に認めてもらって、給料をもらってちゃんと、ご飯も食べられるようにしたい」と、小松さんは話す。
被災地の復興がゴールではない。人の心も、そして日本も復興しなければならない。小松さんによると、起業家の多くが自分が立ち上げた会社で若者の育成に力を入れているという。被災地の学生はもちろん、県外からの学生もインターンとして受け入れている。「課題を拾い集めて、それを解決するためにいろいろな企業と組んでプロジェクトを進め、地域が変わっていく力にしたい」と小松さん。
これからの震災から4年近くが経過するなか、これからの復興には、どう外部を巻き込んでいけるかが鍵になる。ハブ機能が必要なのは、被災地だけではない。小松さんは世界に「アスヘノキボウ」をつなぎたいと考えている。
≪「Cafe butterfly」店長 浜名康恵さん 不安を癒やす 母と子の居場所≫
JR石巻駅の近くにある「Cafe butterfly」(通称・ママカフェ)には、震災で集まる場所がなくなってしまった母親と子供たちが訪れる。赤ちゃん用のベッドやおむつ替えシート、絵本などが完備されていて、自由に子供を遊ばせ、母親同士で子育ての情報交換などもできる。親子で楽しく安心して滞在できるのが魅力で、ほとんどのお客さんがリピーターになるそうだ。
ママカフェは、石巻市内で活動している「石巻復興支援ネットワークやっぺす」が考案した。被災者と同じ目線で復興支援を行うことを目的に設立された団体で、後回しにされがちな子育て支援に力を入れてきた。
「孤独感を感じたり、思いっきり遊べる場所がなくて困ったりしているお母さんと子供の両方に楽しんでもらえる憩いの場所を作ろうと考えた」と、店長の浜名康恵さん(35)は話す。
石巻では震災で公園や文化施設が減ってしまい、まだまだ母親と子供の居場所作りが必要だという。そこで、カフェを開きたい人が一日店長を体験できるようにし、「経営の担い手の育成」に力を入れている。また、親子パン教室など、地域の人と一緒に協力して行うイベントも多く開催している。
「店名には、蝶がさなぎから羽ばたく姿をイメージし、ここからともに羽ばたいていきましょうという意味が込められています」と、浜名さんは言う。イベントを通じて、バラバラになってしまった地域の人たちをつなぐ場も提供。孤独感や閉塞感を癒やしチャレンジする一歩を踏み出す力を与えてくれる。そんな場所を目指している。
今後の目標について、浜名さんは「多くの世代に愛されるお店にすることと黒字化」と語る。「お店の存続のためにはいっぱいお客さんに来てもらうことが大切。幅広い世代の人に来てほしいと思っています。世代の垣根をなくしたい」。地域の人たちや世代を超えた人たちに愛されるカフェを目指して、さらに羽ばたいていく。(今週のリポーター:中央大学 有志学生記者/SANKEI EXPRESS)
中央大学 有志学生記者
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