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安保理討論会合 中国外相が日本批判 戦後70年 対日歴史戦激化の合図か

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安保理討論会合 中国外相が日本批判 戦後70年 対日歴史戦激化の合図か

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国連安全保障理事会の討論会合で演説する吉川元偉(もとひで)国連大使=2015年2月23日、米ニューヨーク(共同)  国連安全保障理事会は23日、「反ファシスト戦争の勝利」と国連創設70年を記念する討論会合を開いた。主宰者の中国の王毅外相(61)は「(加盟国の中に)過去の侵略の犯罪を糊塗(こと)しようとしている国がある」と歴史認識をめぐって暗に日本を批判した。これに対し、日本の吉川元偉(もとひで)国連大使(63)は「日本は深い反省の念に基づき、平和を愛する国家として、道を歩んでいる」と訴えた。

 会合は「国際平和と安全の維持」がテーマで、約80カ国が参加した。中国外相が安保理会合を主宰するのは異例。

 王外相は演説で、「中国はアジアでの反ファシスト戦争の主力として歴史的貢献を果たした」と強調。戦勝国が「多大な犠牲も払った」と述べ、戦没者に哀悼の意をささげようと呼び掛けた。

 その上で、「歴史的事実はすでに明らかであるのに、今なお真実を認めるのをためらい、(歴史の)審判を覆そうとしている国もある」と日本を間接的に批判した。

 一方、吉川大使は「日本は自由や民主主義、法の支配を尊重し、世界の平和と安全維持に貢献してきた」と強調。

 「こうした姿勢は日本人が誇りとするところであり、今後も変わらない」と述べ、国連とともに平和構築や軍縮、人権問題などに積極的に取り組む方針を示した。

 韓国と北朝鮮の代表も会合で発言したが、歴史認識問題への言及は避けた。(ニューヨーク 黒沢潤/SANKEI EXPRESS

 ≪戦後70年 対日歴史戦激化の合図か≫

 中国の王毅外相は23日、米ニューヨークでの国連安全保障理事会の討論会合で約80カ国の参加者を前に、名指しを避けながらも厳しい日本批判を展開した。2月19日の春節(旧正月)で新春を迎える慣習がある中国では、会合は新しい年の最初の重要外交行事と位置づけられる。王外相の演説を聞いた北京の日本問題専門家は「今年の対日政策も昨年と同じく厳しいものになりそうだ」と述べた。

 昨年11月には2年ぶりの日中首脳会談が実現し、中断していた各分野の日中交流は徐々に回復しつつある。日本側の関係者は日中関係回復を期待しており、日本政府も歴史認識問題などで新たに中国を刺激していない状況だ。

 しかし、日本側の願いやメッセージとは関係なく、中国の習近平指導部は日本と対峙(たいじ)する姿勢を崩していない。中国の共産党関係者は「反日は中国国内の都合によるもので、簡単にやめられない」と指摘したうえで、「日本を叩くことによって習政権は自らの求心力を高めると同時に、国内問題への関心を外に向けさせようとしている」と指摘した。

 2012年秋に発足した中国の習政権は、日本と対決する姿勢を続けてきたが、国民に飽きられないように毎年“反日カード”を変えているのが特徴だ。13年は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化を問題視し、日本政府に譲歩を迫った。14年は戦時中に「強制連行」されたとする中国人元労働者の賠償訴訟や南京事件を大きく宣伝し、中国が被害者であることを強調した。

 そして今年は戦後70年であり、中国が反ファシスト戦争の主役として勝利に大きく貢献したことを国内外にアピールし、国威発揚につなげようとしているようだ。

 夏から秋にかけて、中国国内でさまざまな祝賀イベントが予定されている。秋にはロシアのプーチン大統領らを北京に招いて盛大な軍事パレードを開催する予定だ。王外相の国連での発言は「戦後70年」の対日歴史戦の“ゴング“ともいえるかもしれない。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ≪菅氏が反論≫

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は24日の記者会見で、中国の王毅外相が国連安全保障理事会の会合で歴史認識をめぐり日本を暗に批判したことに対し、「日本は戦後70年にわたって先の大戦の深い反省の上に立ち、平和国家として世界の平和と繁栄に貢献してきた。多くの国際社会から理解を得て、評価されている。日本として主張すべき点はしっかり主張することが大事だ」と反論した。(SANKEI EXPRESS

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