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盲導犬 もっと知って(上) まだまだ低い理解 危険な行為も

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盲導犬 もっと知って(上) まだまだ低い理解 危険な行為も

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盲導犬について知らないこと、誤解されていることが多すぎる=2014(平成26年)11月20日(関西大学、有志学生記者撮影)  【Campus新聞】

 1957年に日本で初めての盲導犬が誕生してからまもなく60周年を迎える。全国で1000頭を超える盲導犬が活躍しているとされるが、まだまだ普及率は低く、圧倒的に不足しているという。昨年(2014(平成26)年)7月には、盲導犬が何者かに刺されるというショッキングな事件も起きた。事件をきっかけに盲導犬について、知らないこと、知られていないこと、誤解されていることが多すぎると感じた関西大学社会学部マス・コミュニケーション学専攻の学生記者5人が取材した。

 □今週のリポーター 関西大学 有志学生記者

 日本国内で約8000頭の盲導犬が必要とされているにもかかわらず、実際に活動している盲導犬の使用者は1039人(2013年3月時点)にとどまり、まだまだ不足しているのが現状だ。盲導犬の存在は知っていても、実際に目にしたことがないという人も少なくはないだろう。

 「ほえない」は誤解

 盲導犬について知られていないことが多く、そのため、多くの誤解や偏見がある。それを象徴する事件が起きた。昨年7月に、さいたま市で盲導犬「オスカー」が何者かによって刺された事件だ。刺されて出血したにもかかわらず、オスカーはほえなかった。そのため、「何をされてもほえないように訓練されている」という誤解が生まれた。

 確かに公共の場所などでほえないように訓練はされているが、痛みを我慢させるような訓練が行われているはずがない。それにもかかわらず、一部のメディアでは「ほえるのを我慢した」などと報じられた。

 盲導犬について自分たちも含めより多くの人にもっと知ってもらうため、盲導犬ユーザーや彼らを支える人たちを取材することにした。

 通勤楽に 声かけ増

 盲導犬のユーザーである岡本昇さん(45)は、未熟児で生まれ、保育器に酸素が多く送られたことが原因で、未熟児網膜症になってしまった。学生時代までは、まだ少し見えていたが、10年ほど前に緑内障になり視力が下がった。人とぶつかることが多くなり危険なため、若いころは「格好が悪い」と思っていた白杖を使うようになった。そして、05年から盲導犬のユーザーとなり、現在は2頭目と生活を送っている。

 盲導犬ユーザーになってからは、歩くスピードも速くなり、障害物もよけてくれるので通勤するのが楽になった。また、街で歩いていて道に迷ってしまったときに、人から「どうしましたか」と声をかけられることが増えたという。そして、帰宅時にバス停で多くの人が並んでいるにもかかわらず、最初に乗せてくれたりするようになった。「これは、白杖ではありえないことだ」という。

 「目で合図」は×

 だが、良いことばかりではない。動物禁止の集合住宅に行くことができなかったり、入店や宿泊を拒否されたりすることはまだまだある。

 盲導犬に関する周囲の知識不足から危険を感じることもある。実は、ユーザーと歩いている盲導犬に第三者が触るだけでなく、目で合図を送るアイコンタクトをとることも危ないのだという。

 ユーザーと盲導犬は歩行中、ハーネスという犬の体に取り付けられた白い胴輪を通じてコミュニケーションをとっている。例えば、段差があると、盲導犬はハーネスが少し上に上がるようにして止まる。左に角があるときは、ハーネスが左に動くようして止まる。ユーザーはハーネスから伝わる情報をもとに安全に歩くことができる。さらにハーネスを通して盲導犬に降りかかる危険な行為も感じることができるという。

 ところが、第三者からの目でのアイコンタクトはハーネスを通じてユーザーには伝わらない。岡本さんも、自分の盲導犬がアイコンタクトを受けてよそ見をしたため、柱にぶつかってしまったことがある。盲導犬にアイコンタクトをとるという、なにげない行為が、盲導犬とユーザーを危険な目に遭わせてしまうのだ。

 ペットと盲導犬はどう違うのか、盲導犬に触ることやアイコンタクトをとることがなぜいけないのかなど、知られていないことが多く、今の社会は盲導犬に対する理解がまだまだ低い。岡本さんは「温かく見守ってほしいけれど、困っていれば手助けをしてほしい」と訴えた。(今週のリポーター:関西大学 有志学生記者/SANKEI EXPRESS

関西大学 有志学生記者

<取材・記事・写真>

時末捷司、土田桃子、半田夏妃、山根萌、吉田佳奈

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