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【東日本大震災4年】「あの時」の記憶 資料とともに 被災物品を保存 美術館で展示も
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積み木のようなカラフルさが印象的な大津波資料館「潮目」。震災がれきを寄せ集めて作られ、電気も引かれていない=2015年2月21日、岩手県大船渡市越喜来地区(三尾郁恵撮影) 東日本大震災の被災地では、記憶の風化を防ごうと震災の関連資料を保存する活動が進む。4年前、大きな揺れや津波に襲われた姿を残す品々は、未曽有の天災の恐怖や被害の大きさを静かに物語っている。
震災前は繁華街だった岩手県大船渡市越喜来(おきらい)地区の一角。がれきでできた風変わりな建物がたたずむ。大津波資料館「潮目」。地元で土木業を営む片山和一良(わいちりょう)さん(63)が2年半前、個人的に作った。電気もない質素な館内には、当時の写真や津波到達時刻で止まった時計などが置かれている。
土地は大船渡市から無償で借りているが、復興計画によっては取り壊しの可能性も。片山さんは「震災を伝える場は必要…」と先行きを気にする。
宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館。高台にあって津波被害は免れたが、スタッフの中には親戚(しんせき)や友人を亡くしたり自宅を流された人もいる。そんな中、被害状況の撮影や被災物品の収集を続け、約2年かけて常設展示を作った。家や船の一部、泥の詰まった家電品、ぬいぐるみや卒業証書などを展示している。
一方、福島県では県立博物館を中心に保存活動が行われている。当初は東京電力福島第1原発事故の影響で沿岸部の活動が制限されていたが、今年度から「ふくしま震災遺産保全プロジェクト」が始動。津波でひしゃげた車や交通標識、印刷したものの配達できずに販売店に残った震災や原発事故を知らせる新聞の束などが集まっている。(写真報道局 三尾郁恵/SANKEI EXPRESS)