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一つのコンサートを楽しく完結させたい 栗コーダーカルテット
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リコーダーの四重奏、栗コーダーカルテット。(写真左から)栗原正己(リコーダー、ピアニカ、アンデス〈鍵盤リコーダー〉ほか)、川口義之(リコーダー、ボーラン〈アイルランドの打楽器〉、サックス、ウクレレほか)、近藤研二(リコーダー、ギター、ウクレレほか)、関島岳郎(リコーダー、チューバ、口琴ほか、提供写真) リコーダーの四重奏、栗コーダーカルテットが奏でる、「親しみやすくどこか懐かしい」音色の魅力が、じわじわ日本中に浸透しつつある。NHK Eテレの子供向け番組「ピタゴラスイッチ」の音楽や、CM、映画音楽などでファンになった人も多いという。今月、東京・高円寺の劇場、座・高円寺で公演を行う。
「4人ともポピュラー音楽のシーンで活動していてお互いに知ってはいましたが、近藤研二がやっていたバンド『ハイポジ』を手伝ったときに初めて4人そろいました。その時、栗原正己にリコーダーブームが来ていて、ハイポジの活動の合間に合奏して遊んでいたんです。当時『たま』というバンドの知久寿焼(としあき)さんとの飲み会の席で、知久さんの歌をリコーダーで伴奏したら面白いという話が出て、それが実現した1994年7月から栗コーダーカルテットとしての活動が始まりました」と関島岳郎が結成当時を振り返る。
メンバーは栗原、川口義之、近藤、関島の4人で、97年、初アルバム「蛙のガリアルド」をリリース。2005年にカバーしたスター・ウォーズ「帝国のマーチ」のヒット以降、脱力系バンドとしてメディアに取り上げられる機会も多くなった。昨年、結成20周年を迎えた。記念アルバムには、バロック・ルネサンス音楽からロックまでレパートリーを持つだけに、「ピタゴラスイッチ」のテーマなどオリジナルから、ルネサンス期の「ロンドとサルタレッロ」、マイケル・ジャクソン「スリラー」、ショパンの練習曲「蝶々」まで幅広い作品が収められている。
「ブリュッヘンや吉沢実先生がきっかけで笛に興味を持ちました。個人的に古楽への憧れがあって、バンドの最初期にはルネサンス期のポリフォニーなども試したのですが、演奏力の問題もあってうまくいかず、そこから自分たちに合ったレパートリーの模索を始めました。オリジナル曲を作ったりアレンジの工夫をしたり…その積み重ねでいまの形になっています」と栗原は話す。
リコーダー以外にウクレレ、打楽器、ギター、チューバ、口琴、ピアニカなどが絶妙にブレンドされ、アレンジの妙もあり不思議な充足感がある。
「一つのコンサートを楽しく完結させたいといつも考えています。リコーダー4本だけでお客さんの集中力が持つ時間は限られているので、各自の本来の楽器であるギター、チューバ、サックス、打楽器なども加えて音色のバリエーションを増やしています。それに教育テレビの音楽からメロディーのない即興まで、栗コーダー以外でも多岐にわたる演奏をしている4人が、自分の音楽の引き出しから『この曲はどうだろう』と持ちより、全員でディスカッションをして仕上げるので曲やアレンジの幅も広いです。最近では3歳から80歳まで聴衆の層も広がっています」と川口。
座・高円寺のライブには、知久がゲスト参加する。20周年コンサート以来で、その前は10年前というから貴重な機会。彼らのいわば“栗回路”を通してどんな魅力的な音楽の空間を作り上げるか楽しみだ。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集部 平末広/SANKEI EXPRESS)
3月28日(土)14:00 座・高円寺1(東京)。<ゲスト>知久寿焼
。<問い合わせ>座・高円寺 (電)03・3223・7300。※前売り完売。当日券は開演1時間前から。