SankeiBiz for mobile

JR石巻線、全線再開 復興へ思いつながる 4年ぶり 浦宿-女川間2.3キロ

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの社会

JR石巻線、全線再開 復興へ思いつながる 4年ぶり 浦宿-女川間2.3キロ

更新

全線運転を再開したJR石巻線の女川駅で行われた臨時列車の出発式=2015年3月21日午後、宮城県牡鹿郡女川町(共同)  東日本大震災の津波で被災し、不通となっていた宮城県女川町のJR石巻線浦宿(うらしゅく)-女川間(2.3キロ)が21日、震災後初めて運転を再開した。再開を記念した式典も開催され、祝福ムードの中、一番列車は多くの町民の歓声を背に、復興に向けて走り出した。

 石巻線は小牛田(こごた)駅(宮城県美里町)と女川駅を結ぶ約45キロの路線で、震災直後は全線不通となった。津波で被災した女川駅は震災前より約200メートル内陸側に移設。駅舎は世界的な建築家の坂(ばん)茂さん(57)がウミネコをモチーフに設計した。

 午前6時過ぎに列車が駅に到着すると、待ちわびた町民らから歓声が上がった。須田善明町長(42)が運転士に花束を手渡して発車。大漁旗がはためく中、列車が送り出された。

 通学で利用する女川町の高校2年、須田茉緒(まお)さん(17)は「列車が通ってくれて便利。町を訪れる人も増えると思う」と話し、始発列車に乗り込んだ。大漁旗を大きく振って列車を迎えた町観光協会事務局長の遠藤琢磨さん(47)は「町が復興で変わっていく姿が見えるから、自分たちも頑張れる」と笑顔をみせた。

 記念式典であいさつした須田町長は「復興を通じて新しい価値を生むことが、4年前に旅立った人の無念に応える唯一の道。全力で取り組む」と力を込めた。兵庫県西宮市役所から女川町へ応援職員として派遣されている山田博貴さん(33)は「鉄路も復旧し、どんどん町も良くなっている。切符は宝物にして保存しておきます」と声を弾ませた。

 女川町は震災前から人口が約3割減り、商業施設や住宅など主な機能を中心部に集めた「コンパクトシティー」として再生を目指している。駅周辺は、被災した商業施設の復興を国が支援する「まちなか再生計画」の第1号となった。震災遺構として保存される「旧女川交番」周辺には公園を設ける予定だ。記念式典に出席した竹下亘復興相(68)は復興状況を築城にたとえて、「今は大手門か三の丸。本丸は町民が帰ってくることで完成する」と話した。

 午後には町内の小学生約150人が女川発の臨時列車に乗り、町民らが笑顔で旗を振った。(SANKEI EXPRESS

ランキング