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「世界一の製品、顧客満足」 急成長の秘密 iPhone用ケース開発メーカー 坂本ラヂオ

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「世界一の製品、顧客満足」 急成長の秘密 iPhone用ケース開発メーカー 坂本ラヂオ

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坂本ラヂオ社長の坂本雄一さん=2015年3月20日(ニュースペース・コム撮影)  「幸せになるために働く。関係する全ての会社・人々を幸せに」。これが坂本ラヂヲ(東京都目黒区)の哲学だ。徹底的に品質にこだわったiPhone用ケース・防護ガラスの企画開発・製造販売で、起業わずか6年、社員19人で売上高30億円超という驚異的な成長を遂げた。その秘密は「数字目標は持たない。目標は社員が自分で決める。世界一の製品で顧客に満足を販売する」。坂本雄一社長のポリシーに揺らぎはない。

 起業は2009年。オーディオ機器メーカーなどに勤めていた坂本社長が脱サラしてたった1人で創業した。2年目に当時話題のiPhone3Gを手にして、これにふさわしいケースが欲しいと思ったが、アフターパーツの市場はほとんどなく、気に入るものは皆無。「ならば自分で作ってみよう」。これが始まりだった。

 坂本社長は「最初は自分用のケースを作るつもりでトライした。ビジネスマンがスーツの内ポケットからさりげなく取り出すと、周りが放っておかないような格好良さ。そんなイメージでした」と振り返る。こうして坂本ラヂヲブランド「GRAMAS」の第1号、アルミを高精度で削り出したiPhone向けバンパーが誕生した。

 自分が欲しいものを作る

 スマホ産業はいまでこそ巨大市場になったが、坂本社長はこれを見込んで参入したわけではない。「あくまで、自分が欲しいということは、同じように欲しいと思っている人がいるはず」という確信からだった。「自分がユーザーになれないと、良い製品は作れない」。これが常に発想の起点なのだ。

 現在の製品ラインアップは、340以上。iPhoneのリニューアルのたびに製品開発を行う。代表的なものが、手帳型のレザーケース。このなかで「LCシリーズ」は牛革1枚をぜいたくに使い、つなぎ目がまったくないためにこれまでに類のない薄さを実現した。発売した10年当時、他社製品もあったが、どれも縫い目があって分厚かった。新シリーズはこうしたレザーケースのデメリットをすべて解消するものだった。

 それだけではない。デザイン性と耐久性も抜群で、とくに角部分は熟練の職人が手作業で曲線に合わせて革を織り込む念の入れようだ。手帳型なので、ICカードも収納でき、かざすだけでOKだ。

 世界一へのこだわりは、13年発売の「Helium 113」シリーズにもある。ポリカーボネート製ケースでは市場初の最薄部0.39ミリを実現。また「HT104」シリーズでも、TPUケースで最薄の0.5ミリをつくり上げた。いずれも素材の配合や製法の工夫によって、薄さと強度の両立をぎりぎりまで追求したものだ。

 製品は、韓国系の中国工場で行う。坂本社長は「中国といっても熟練職人の技術は日本人より優秀なほど。品質と納期はうるさいほど注文し、中国駐在の社員が管理するが、コストを安くとは決していわない。適正な利益はきちんと出してほしい。中国工場は私たちの大事なビジネスパートナーであり、新たな技法を共同開発することもある」と話す。

 坂本社長の品質追求はここにとどまらない。革小物職人の岡本拓也さんとの出会いが生んだ「Meister」シリーズは、クロコダイルのなかでも最高峰のポロサスクロコの後ろ足部分だけを使ったものと、アカエイの1枚の革に1つしかないスター部分だけを使ったぜいたくなケース。価格は5万~6万円だが、「世界で一番スタイリッシュなケース」はまさに芸術品だ。昨年12月に発売、ソフトバンク銀座店1店舗だけで月間200個、1000万円超を売り上げた。

 海外展開と新分野進出

 業績は、11年度の売り上げ5000万円が、「まったくの予想外」で13年度には12億円超、今年度(見込み)30億円超に。今後の課題は、海外への展開と新分野への進出だ。すでにシンガポールとマレーシアで有力な販売代理店と契約。フィリピン、タイ、インドネシア、そしてアメリカにも進出の予定。新分野はiPhoneブームの後を考えて文房具の小物類を開発中だ。

 将来戦略は着々だが、規模拡大は目指さない。「数字にこだわると、目先だけになってよいものは作れない。会社は20~30人程度が一番いい」と坂本社長は力をこめる。

 ≪やる気起きる「10カ条」 社員年収1000万円目標≫

 坂本社長は「社員は家族、その家族も家族」と言う。その社内ルール10カ条がまたユニークだ。

(1)始業は朝10時

(2)社内ドレスコードはTシャツでもOK

(3)出張時、社長も同行社員もグリーン車に乗る

(4)社長賞は社員全員に名入りローレックス

(5)市場調査はいっさいしない

(6)営業に売上ノルマ数字管理は一切なし

(7)社内会議や企画会議は立ち話で5分以内

(8)社長の意見を社員が否定してよし

(9)業務は自分でやりたい事を手を挙げて始める

(10)役職や肩書は自身で決める

 坂本社長はサラリーマン時代に、会議の席上で社長から怒鳴られた経験を持つ。理不尽なもので、「自分はこういう人間にはならない」と心に決めた。「自分が社長になったので、これを実践している。社長の仕事は社員のやる気を起こさせることだ。自分がされて嫌なことは他人にはしない。これ、基本でしょう」と語る。

 「品質にこだわったオンリーワンこそ究極のブランディング。楽しいモノづくりで満足を販売する」という坂本社長。会社経営もまた、ひたすら「社員の幸せのため」。早く社員全員の年収を1000万円にするのが社長の目標だ。(ニュースペース・コム編集部、写真も/SANKEI EXPRESS

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